【ライトゲームマニア】 スモールゲームとハゼゲーム…未来のビタミン剤

レオン 加来 匠(Kaku Takumi) プロフィール
作家・開高健の「輝ける闇」という小説に、こんな場面が描かれている。
ベトナム戦争のさなか、メコン川の対岸では銃声や爆音が飛び交っていた。希望すら見出せないような激烈な状況の中、それでも人々は安全な場所を探し、竿を垂れて魚と向き合っていた…という。従軍記者として彼が目撃した光景だ。
あれから半世紀。焼け野原となったベトナムは見事に立ち直り、今では活気あふれる国へと変貌している。僕はそこに、人間が本来持つ「活路を見出す力」「希望を手放さない強さ」を感じるんだ。暗闇の中でも一筋の光を探し当てる逞しさ。それは僕らの営みの根っこにあるものだと思う。
そして現代。僕らの暮らしを見ても、ニュースを開けば値上げや政治不安や不満の話題ばかりでしょ?
そんな時代だからこそ、自分なりの「希望の種」を見つけることが大切なんだ。僕にとって、それはやっぱり釣り。小さな魚と向き合い、竿先に伝わる生命感に心を震わせるひとときこそが、明日を生きるためのビタミンになる。
スモールゲーム──小魚が教えてくれること
ここ数年、僕が提唱しているのが「スモールゲーム」というスタイルだ。
例えばライトゲームの中で脇役にされてきたハゼやキス、セイゴやベラ、スズメダイやカワハギ…そんな小魚たちを主役に据える。
軽いタックルに小さなルアー。漁港の足元でも、道端の小さな水辺でも、相手はすぐそこにいる。小魚と出会うその瞬間に、大げさじゃなく「生きている実感」が湧いてくるんだよね。小さな魚に、大きな意味を見出す。それがスモールゲームの本質なんだ。
その象徴的な存在が「ハゼゲーム」。
ハゼなんて子どもの頃から馴染み深い魚でしょ? でもルアーで狙ってみると、これが侮れないんだよね。
クランクベイトで連発する「ハゼクラ」、小型ジグやスプーンで数を重ねる釣り。ときには餌釣りを凌ぐ効率を見せることもある。そしてさらに「チャビング」と呼ばれるカワムツやオイカワをルアーで狙う遊びまで加わり、スモールゲームの世界は一層広がってきた。
身近で親しみやすい存在なのに、突き詰めれば深みにハマる。その奥行きこそ、僕らの心を惹きつける。ありふれた存在にこそ、強さと希望が宿っているんだよ。
仲間と共有する希望
そんなハゼゲームをこよなく愛しているのが、うちのオフィシャルスタッフ前野巧磨…「ぜんさん」だ。
彼は今年もプライベート企画として 「ハゼゲームフォトコンテスト2025」を立ち上げてくれた。
ハゼを釣って、笑顔で写真を撮って、仲間と共有する。
そのシンプルな行為が、世知辛い日常を明るく照らしてくれる。たとえ小さな魚一匹でも、そこに映る笑顔は希望そのものなんだ。
釣りは未来をつなぐビタミン剤
僕らが手にする「釣り竿」は、ただの道具じゃない。心を解き放つ杖であり、明日を指し示すアンテナだ。
小魚と遊ぶひとときが、日常を豊かにし、不安を打ち消す力になる。そういう積み重ねが、未来を前向きに変えていくんだと思う。だからさ、かの日のベトナムのおっさんのように、もっと釣りに行かなきゃならない。
そう、もっと釣りに行こうよ。ウンタラカンタラ「行けない理由」を並べるんじゃなくて、目の前に、すぐそばに、宝箱みたいな水辺があるんだからさ。
釣りはやっぱり僕らの活力なんだ。
もう一回言うけれど、だからこそ、縮んでないで──釣りに行こうぜ。
そして、ぜひ、ぜんさんのフォトコンに参加してみてほしい。小さな魚と向き合うその時間が、きっとあなたの明日を元気にしてくれるから。
関連動画
https://youtu.be/AL13zYtCprE?si=vJ_0BKGOJnq_nuGB