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Fishman土屋きゅうりの“実投インプレ”。9ft超のライトロッド「Beams inte9.8L」について

寄稿:土屋きゅうり
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皆さんこんにちは、フィッシュマンテスターの土屋きゅうりです。

土屋 きゅうり(tsuchiya kyuri) プロフィール

東京湾奥をホームとするベイトシーバスマン。 基本的にターゲットはシーバスオンリーで、機動力の高い折り畳み自転車にFishmanロッドを乗せ湾奥を徘徊するというスタイルで通年楽しむ実力派アングラー。

見たことないロッド…と、先日予約受付が開始となった新製品の3本が盛り上がっておりますが。今回はそんな新製品の内の1本Beams inte9.8Lを徹底解説いたします!

Beams inte9.8Lというロッド

Fishmanの「inteシリーズ」といえば、メバルやアジングがメインになってくるようなライトプラグの扱いに特化したシリーズ。…なんですが、この「inte9.8L」はルアー対応幅が2~20gと、結構重たいルアーまで対応できるライトバーサタイル機というロッド。

スペックは下限2gと記載がありますが、既存inteシリーズと比べると3g以下の快適度はさすがに下がります。

テーパーデザイン

 

テーパーデザインはレギュラーテーパー。ただし、通常のレギュラーファストのようなベリーの頭からイッキに硬くなるようなテイストではなく、全体的にしなやかさを残しつつ低負荷時(軽量ルアー等)はベリーの始めあたりが支点になってルアー操作がしやすいようになっています。

※ライトルアーのキャスト性能と操作性に振っているセッティングのため、強い入力の必要な100mmクラス以上のミノージャーキング等をする際は少しベリーパワーが足りなく感じるかもしれません。

グリップ長

ロッドの操作性を担う要素のひとつとして重要なのが“グリップの長さ”です。公式スペック上は48cm。ただ、これはリールシートの先端からエンドまでの長さです。皆様が操作性を考える上で参考にしやすいグリップ長さは“トリガー下、もしくはリアグリップの始めからエンドまでの長さ”かと思います。というわけで実測したところ、トリガー下~エンドで38cm、リールシート下~エンドで36.7cmでした。この長さはロングキャストを意識しつつ、操作性を損なわないギリギリのグリップ長となっています。

ガイド内径

既存inteシリーズはガイド内径が小さいマイクロガイド搭載機でしたが、98Lに関してはマイクロガイドではなく余裕を持った内径の大きめなガイドを搭載しています。製品ページでは16lbが余裕…という記載がありますが、個人的な使用感では30lbフロロリーダーで全ガイドを通すセッティングにしても干渉感はありませんでした。(焼コブなしのFGノットを前提とした場合)かなり色々なことができるブランクス性能に加え、太リーダーを扱えるので、更に汎用性を高くなっているという印象。

ベンドカーブ

口頭での解説じゃあブランクス性能がわかりづらい!そんな皆様のために。ベンドカーブがわかるよう、100g、500g、1kgのウェイトをロッドに背負わせてみました。ちなみに、静止画で収束の速さまでは表現できませんので、気になる方は動画をチェック!

それではまず100gです。

テーパーデザインの部分で解説した低負荷時はレギュラーファスト…という部分がコレ。おわかりいただけますでしょうか。低負荷時はベリーの頭の部分が残って操作の支点になり、高い操作性を出すことができます。

では、続いて500gを。

これがテーパーを文章で説明しにくい部分で、軽量ルアーを投げやすいということは軽いルアーでも竿全体を曲がらなければいけません。つまり、しなやかでありながらレギュラーファストのテイストを残す…という絶妙なテーパーセッティングになっているということがこちらでわかるかと。

最後は1kg。Lロッドに対して1kgのウェイトは少し重めですが…まだまだ余裕のあるリフト。このパワーがあれば、遠投先で不意の大物が掛かっても安心してファイトすることが可能です。

おすすめのリール・ラインセレクト

リールセレクト

inte9.8Lに合わせるリールは、ズバリ“ライトバーサタイルなリール”がマッチします。

ここまでで記載してきた通り、9.8Lはライトルアーに特化しているのではなく、あくまで“ライトバーサタイル”なロッド。つまり、いわゆるベイトフィネス機を乗せるよりも、ライトルアーを投げられつつ、距離も稼げるという機種がマッチします。オススメは、ベースラインがスプール径“32mm~34mm”の機種です。僕が普段使っている機種だと、ピン撃ちでなければ3gもキャスト可能でSVBOOST搭載で遠投もできるエントリー機「25タトゥーラSVTW」や、超浅溝スプールで比較的軽量ルアーも得意な34mm径の「シルバーウルフSVTW」がメインどころになります。

ただーし!隠し要素(?)として下限を10gオーバーにして、スプールの軽い(これすごく重要!)37~38mm径のリールを遠投特化的に使用するのもおもしろいです!通常しなやか系のロッドは、大口径リールに必要なルアー初速を稼げず飛距離が出せないので使わないことが多いのですが、9.8Lはしなやか系でありながら張り・収束の速さとロングレングスがあるので結構ルアーの押し出し力が強いという特長があります。なので、スプール重量が軽めな機種であれば必要な初速を確保でき、10g~20g(20gを超えてくると投げづらくなってきます)の遠投特化型セッティングとして考えるのであればこの辺の運用も非常におもしろいです!ちなみに僕はIMZ200を使用しています。

ラインセレクト

ラインセレクトはガイド径の部分でも記載しましたが、かなり余裕のあるガイドセッティングになっています。なので、ラインセレクトはあまりを気にせずロッドの特性に合うセッティングであれば用途に合わせて好きにセッティングしてよいかと思います!

ただし、例えばこのロッドを使って2oz主体で投げるから4号PEに40lbのリーダーを組む…みたいな、9.8Lの特性を無視したセッティングはなしでお願いしますね。

実際に投げてみた!

ロッドの解説はこのくらいにして。気になるのは「実際に投げたらどれくらい飛ぶの?」という部分ですよね!

今回は軽いルアー主体+20gジグの遠投で飛距離を測りました。測り方はシンプルにPROXさんのデジタルデプスカウンターを使用。タックルセッティングは軽量部門とジグ遠投部門でチェンジします。

軽量タックル部門

タックルデータはこちら。

実投環境は3m~4m程のやや向かい風で、ライトルアーの飛距離に大きく影響しました。軽量ルアー実投部門では軽量ルアーの快適なキャスティング性よりは飛距離を重視。リールはベイトフィネスや軽量ルアーが比較的得意なスプール径32mmのリールではなく、34mm径ながらラインキャパが少なく軽量ルアーもそれなりにいける「シルバーウルフSV TW」ををセレクトしています。

まずは、BlueBlueの「ゼッパー40F」。コイツは2.5gです。

軽いし、リップもついてるしキツそう!というのが所感。まぁ投げてみるとします。

「ゼッパー40F/2.5g」は最高で24.8m!もっと言えば、状況さえよければ30m超えも狙えそうなところ!

この結果を見ると、2g台も全然運用可能ということがわかります。「アルファスBF」など、やや遠投に振った30mm径ベイトフィネスリールを付けてアンダー8g程度の遠投性能に振ったセッティングなども結構おもしろいかもしれませんね!

続いては、Pickup「ノガレ120F」。細長い形状で6.5gあります。

この検証は9.8Lをバチ抜けに使いたい方向け。細身で長いフローティングペンシルは風の抵抗をかなり受け姿勢が崩れやすい。選んだルアーは、風が強い日はキャスト難易度激高なノガレ120F。でも釣れるからねぇ…これが投げられないとねぇ…。

で、投げてみる。正直かなりブレーキ設定に迷いましたが…飛距離27m!向かい風でこれなら充分でしょ!そもそもノガレをバチ抜けで使用する際は、引き波を演出したいので風が強い日はあまり使わないし、無風時なら30mは余裕で越せそうなリザルトです。

ドンドンいきます。続いては、DUOの「BayRUF リプラッシュ62F」。

ここで想定したのは、シーバスやチヌ狙い。足場が高い場所や沖のボイルに向けて小型トップウォータープラグを遠投。ありますよね?そんなシーンを想定してチヌトップ用プラグの「リプラッシュ62F」というセレクトです。

比較的飛ばしやすいルアーではあるのですが…やや向かい風で38.9m!ということは、無風時や追い風なら50m超えも全然見えてくるリザルト…。やはりライト長距離砲は侮れません!

実投・遠投部門

さてライトルアーを遠投できることはまぁ9.8Lなんですから予想の範囲内。では、20gジグの遠投はどうよ?と言う訳で、遠投部門はおすすめリールで記述した“限定的なロングキャストリール設定”でいきます。

そんなタックルデータはこちら。

ルアーは、DUOの「ドラッグメタルキャスト」20gの小型ジグ。

あれこれ投げてみて、だいたい快適上限がこの20g程度となります。SLSJ/スーパーライトショアジギングとかやりたい人もいるよねー!ということで20gのジグを遠投。

その飛距離、なんと81.6m!向かい風でこのリザルトですよ?追い風なら100m砲いけますがな。

最後に

いかがでしたでしょうか?ライトルアー特化というよりはライトバーサタイルであり遠距離砲でもあるという、この「Beams inte9.8L」。いろはがお伝えできたのではないでしょうか?

個人的には展示会などで振ったイメージと、実際投げたイメージがかなり違う印象のロッド。なので、フィッシングショー等で触った方は、ぜひこの記事や元動画を見てから判断して頂いたほうがよいかと思います。正直開発に関わっていない僕も初めてこのロッドをフィッシングショーで触ったときの印象と実際に投げた時の印象が全然違うおもしろいロッドでございました!

是非この記事と元動画を参考にしてみてください!(よかったらチャンネル登録も…笑)

出典:YouTubeチャンネル「湾奥ベイトキャスch【土屋きゅうり】」

Fishman

「ゼロバックラッシュ」「飛距離」「高精度ピンスポット撃ち」を追求したベイトロッド専門メーカー。 怪魚ハンターとしても知られる赤塚ケンイチ氏が代表を務め、同氏の豊富な経験がフィードバックされたロッドは、繊細な渓流から秘境のモンスターまでさまざまなスタイルに対応するラインナップ。
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