今江克隆のルアーニュースクラブR「まさに”一人LIMIT ONE GAME”で6位入賞!〜TOP50小野湖戦レポート〜」 第1243回
決勝!そして
結果的に見ればなんと初日の1尾ですでに予選は通過していたが、あの初日のバラシはこの1尾を自分が必死で獲れるか否かをトーナメントの神様が試したように思えた。
そしてこの時の自分的な最大の収穫は、永遠プロが「もうバスはほとんど残っていませんね、もう戻りません」と言って40分はかかる太田川最上流部まで移動して、ブッチギリのトップウェイトを出してきた見切りに驚かされたこと。
藤田京弥プロもアメリカの試合でよく言っているが「バスが全然いない」と言い切れるのが、ライブサイト達人の恐るべき能力なのだ。
自分ももうライブもサイトも限界だと思っていたが、最後まで見切れるだけの自信はなかった。
予選はなんとか突破した。
だが、順位は最低目標のギリギリ15位。
決勝ノーフィッシュであれば、開幕戦の借金はかなり残る。
なんとか300g1尾でもキーパーを…と思ったが、キーパーを狙ってノーフィッシュになれば、自分はもうここで気持ちが切れると思った。
もう厚東川の上流部にはバスはいないかもしれない。
だが「どうせ倒れるなら前のめり」、意を決して厚東川の上流部に向かった。
そして、この日も暫定トップの永遠プロとワンオンワン。
またしても絶叫を聞かされた後、永遠プロはさっさと厚東川上流を見切って後にした。

3日間、厚東川上流の岩盤帯で午前中はずっとワンオンワン状態だった3位入賞のライブ達人・吉川永遠プロ。ライブの技、ライブによるエリアの見切りの速さ、最高に良い勉強をさせてもらった
後がない自分はノーフィッシュを覚悟して残ったが、どんなに探してもバスがいない。
もう明らかに限界だった。
残り時間は2時間、帰着に30分かかるので事実上1時間少ししかない時点でようやく「もしかしてバスが少し下に降りてるかも」と思い、意を決して上流を後にした。
「減水とプレッシャーで下がったのならどこにいるか?」、下りながら新たに流れがありそうな場所を探していると、減水で今まで上からしか落とせなかった沖の灌水木の傘の下に、ルアーを横に通せる隙間ができていることに気が付いた。

さらに減水が進んだ3日目。ついに上流部岩盤帯を昼前に諦め、少し下がったフラットのブレイクに絡む単独の大型灌水木に狙いを変えた。決勝は減水で灌木の下にルアーを通せる隙間が出来たことがビッグチャンスだっだ
「まだ誰も横には通していないかも…」と思い「アベンタRS」を選んだが、幾らでもある灌木をスローに攻めるにはあまりも時間が足りない。
そこで「クジャラ」が付いていた「ヴェロキラプター」に、とっさの思い付きで小野湖で初めて「スキップドック」のノーシンカーをリグった。
狙いはスキッピングでブレイクに掛かる灌木の傘の下のスペースを展開早く打ち抜くためだ。
プレッシャーを考慮し、可能な限りロングレンジのスキッピングで灌木傘の裏向こう側まで通し、直後に返す刀(Uターン)でポッパーのように水面でトゥイッチしながら再び灌木傘下を往復させ、傘の外に出た瞬間にフォールさせた。
その直後、黄色味を帯びた白い腹が水面直下でモンドリを打った。

決勝の2kgオーバーとのファイト。「スキップドック」で超ロングレンジから沖の灌木を貫き抜き、そこからのスキップ返しで灌木を折り返させた直後のフォールに巨体を翻してモンドリングバイトしてきた

プリプラから一度も使わなかった「スキップドック」だったが、減水で灌木の下にわずかに隙間が出来たことから閃きで使ったことが奏功した
2,158gのビッグバス、このバスを直感でリグった初めての「スキップドッグ」で、初めて直感で狙った場所で手にできたことが、「釣り感」が戻ったと思えた瞬間だった。

この決勝ほぼラストの2,158gのビッグフィッシュは、一生記憶に残るバスになったと思う。バス釣りの神様がまだもう少し頑張れと命じたような気がした

今試合、最大の武器になったのは間違いなくスパイラルガイドロッドの「ベロキラプター」。中間距離でのクイックキャストのしやすさ、スト系に抜群なスラック操作性、ボート際でバスが暴れない唯一無二のライブロッドだ
僅差で及ばない6位入賞
帰着後、値千金のビッグフィッシュは大会ビッグフィッシュ賞、ひいては15位からのまさかの3日間3尾だけで表彰台獲得もあるのではないかと、周りは盛り上がった。
しかし、結果的にビッグフィッシュ賞にも、表彰台にも僅か60g台の僅差で及ばない6位入賞となった。
だが、自分は今回それを素直に受け入れられていた。
それは3日間、毎日マグレに近い1匹だけ、わずか3尾で表彰台は虫が良すぎると思っていたからだ。

3日間、毎日1尾、3日でビッグフィッシュ3尾のみのウェイインで6位入賞。天国と地獄が紙一重、まさに”一人LIMIT ONE GAME”だった
表彰台に乗る資格は運を排除する2匹目、3匹目を釣れる実力がなければならない。
わずか1ヶ月の自主特訓で、簡単に釣り感が戻って表彰台に立てるほどフルタイムプロだらけのTOP50は甘い世界ではない。
逆にこの程度の努力で表彰台に上っていたら、自分に満足してまた慢心していただろう。
トーナメントの神様は自分に対し、「悔しさ」という次に繋がるモチベーションを敢えて残したのだろう。
鬼門と思えた小野湖戦を6位でクリアしたことで、開幕戦の借金はチャラになった。
年間順位はまさにチャラパーの26位となり、次戦、遠賀川からの3戦でどこまで上がれるか、自分にとって再度の開幕戦だ。
少なくとも青野ダムでの釣り感戻しの特訓、ライブ特訓は青野ムダではなかった。
トーナメントの神様に、まだもう少し頑張ってみろと命じられたと今は思っておきたい。

表彰台、大会ビッグフィッシュ賞ともに僅差で逃してしまった。だがそれはトーナメントの神様が“満足するな”と次戦に繋げる悔しさを敢えて与えてくれたのだと思っている。次戦が自分にとって今年2度目の開幕戦だ