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今江克隆のルアーニュースクラブR「見えないラン&ガン!? バスフィッシングの最先端・最強無双の技術」の巻 第1150回

連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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青木唯プロの釣りをカッコいいと思ってしまった……

かつてライトリグに賛否両論があった以上に、「ライブスコープ」には賛否両論多々あるが、トーナメントプロ・今江克隆として今の自分は素直に青木唯プロのこのデジタルスタイルに憧れと敬意を感じている。

不覚にも、彼の釣り姿を見てカッコいいと思ってしまった。

いくらアナログの釣りが一般目線に近いから一般ウケするからとはいえ、純粋にトーナメントプロを目指すならば圧倒的に強くてナンボ、相性がいい湖だけで好成績を出せるのではなく、どこへ行っても強く、常に年間優勝を何年も何年も争ってこそ本物というのが、自分が認めるプロトーナメンターたりえる絶対条件なのだ。

自分が一般目線やアナログスタイルにこだわるのは、自分が、時代の進化、バスフィッシングの進化についていけない、できないという、本当は言い訳にしか過ぎないことを心の中では分かっていた。

結局、現実を受け入れたくなかっただけだったことが、今回の試合で思い知らされたことだ。

近年、JBシリーズ、マスターズ、そしてTOP50と驚異的な優勝率を記録している青木唯プロ。本来、プロトーナメンターとは結局、一般アングラー目線や釣りのスタイル、メーカー貢献など関係なく、畏怖されるほどの圧倒的な強さこそが人をひきつけるのだ。圧倒的強さがあれば、いずれ、それらはあとからついてくる……

ライブスコープの否定は、現代の否定

今まで自分は、興味を持ちつつも否定的側面から中途ハンパに装備だけは経済力で揃えてカジッていたがために、ここしばらくどの湖でも試合時にアナログにも徹し切れず、デジタルを極める努力もしていなかった。

どちらかに振り切ることも時には必要だが、今回の「ライブスコープ」を極めた優勝・青木唯プロ、2位・佐々一真プロの2人は、3位以下にダブルスコア近い差をつける別次元の圧勝だった。

この現実は、ライブスコープテクニックが今や絶対にバスフィッシングの最先端・最強無双の技術であることを如実に証明している。

彼らの驚異的お立ち台率、「ライブスコープ」が主力の湖からTOP50に勝ち上がってきた20代前半の若手プロ達の初年度からの初場所での強さを見ても、それを否定することは、もはや今の時代の否定なのだ。

事実上、試合はもう2日目から「ライブスコープ」を武器とする青木唯プロと佐々一真プロのワンオンワン状態となった小野湖戦。個性派アナログプロ集団のイマカツから薮田和幸プロが3位につけたが、その差は埋めようもなかった

バスフィッシングには、まだまだ進化の余地がある

そして今回、青木唯プロと試合後話す機会を得て実感したことは、決して同じ装備を揃えれば、彼と同じように釣れるのではないという事実だ。

彼は、真冬に霞ヶ浦に通い、今回の小野湖にも1ヶ月も前のオフリミット期間前に10日間もの練習をしていた。

スマホも満足に使いこなせないデジタル音痴な自分が、彼の領域にまで近づくにはそれを上回る何かをしなければ追いつけないだろう。

だが、時代の最先端を走る者は、必ず時代が追いつき、追い越される時もくる。

青木唯は、秘密のライブスコープを使っているから強いのではない。それを自分の最強の武器にするための圧倒的練習量、研究心、熟練度の次元が違うからこそ突出しているのだと思った。結局、今も昔も強くなるためには圧倒的な練習量に勝るものはないのだ

トーナメントプロとしての未来を諦めないためには、少なくとも時代に並走できる力を身に着けることが、今の自分の最優先課題なのだと今回の小野湖戦は、真逆の強烈な結果をもって気付かせてくれた気がする。

来年還暦を迎える自分が、それを一朝一夕にできるとは思ってはいない。

結果が出るとすれば早くても来シーズンになるかもしれない。

だが、そこに自分がまだ知らない未知の最新最強テクニックが紛れもなく存在している以上、それを理解することなくトーナメントプロを辞め、逃げはしたくない。

それをハイレベルで身につけられた時、自分が40年近く築き上げてきたアナログスタイルを活かす機会は、もっと増えると思うからだ。

自分の武器をとことん磨く一点突破もいい。

しかし、昔から自分は全ルアーカテゴリーでの表彰台獲得(ほぼ達成)と、相手の土俵でも勝つことを目標としてきた。

バスフィッシングには、まだまだ進化の余地があることを明確に教えてくれた「ライブスコープ」の存在は、裏を返せば未知のルアーの出現も、未知のテクニックの出現も、まだまだあるかもしれない……という夢を与えてくれたのだと、今は思う。

昨年の霞ケ浦戦の折、「昔から今江さんのファンです」とサインを求められたのが、まさかの青木唯プロのご両親だった。かつてご両親の憧れだった今江克隆は、今、同じ舞台でご子息・青木唯に敵わない。それでも自分は全てで負けたとは思わない限り、まだ、あがき続ける

 

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