【2026春・INXロッド進化論】フィネスの深化とライトロックの再定義 ――「投げる・操る・感じる」の、その先へ
「道具は、アングラーの意思を拡張するインターフェースである」
この言葉は、INXブランドの未来を託しているプロ集団【インクスラボ】が、ロッド作りにおいて一貫して掲げてきた思想だ。
INXアーキテクトたちがこの言葉に込めてきたのは、決してスローガンとしての美しさではない。現場での違和感、ラボで積み重ねた数値、そして魚との一瞬の対話――そのすべてを形に落とし込むための、実践的な哲学である。


レオン 加来 匠(Kaku Takumi) プロフィール
インクスラボの到達点
2026年春、その思想はひとつの到達点を迎える。
インクスラボは今期、新たに4機種のロッドを世に送り出す準備を終えた。本稿ではその第一陣として、2月下旬にリリースされる2機種「ニューサビオ&サビア」に焦点を当てていく。

まず、今回のリリースは単なるラインナップ追加ではない。ブランド黎明期から象徴的存在であったフィネスロッドを、現代のタックルバランスに即して再定義する試みであり、同時に、ライトロックゲームというジャンルそのものをもう一段深く掘り下げるための進化でもある。

100g200g300gのベンディング。両者の個性がよくみて取れる

シングルストレートグリップに変更され、シンプルで美しき佇まいに満ちたコスメ

フードナットは渋めのブラック。サイズを延長させ、リールをセットした際にワインディングチェックのテーパーと、ナットのテーパーがキチンとハマるように

ベリー部に刻まれたポエムは、釣具に対する深い憧憬と愛情を表現
1:【Light Game Series】伝説の深化
設計思想:7.6ftという答えと等長3ピース化

前作サビオは7.9ft、今作は7.6ft。全長としては0.3フィート(約3.6インチ)短くなっている。さらに今作では、従来の不等長3ピース構成から、等長3ピース構成へ変更した。これは携帯性向上のためだけの変更ではない。各セクションの役割を均質化し、ロッド全体のバランスと曲がりの連続性を根本から再構築するための選択である。

等長化によって節は「継ぎ目」ではなく、曲がりを繋ぐ要素として機能するようになり、同時に仕舞寸法も短縮。徒歩移動や遠征時の携帯性も、確実に向上している。
だが、インクスが最も重視したのは全長ではない。設計の基準としたのは、あくまで有効レングスだ。有効レングスとは、アングラーがホールドするグリップ位置より先、実際にルアーを操作し、魚と対峙するブランクの長さを指す。
今作では…
・グリップエンドの短縮
・リールシート位置の後方最適化
これらを等長3ピース設計と同時に突き詰めることで、有効ブランク長の短縮は、わずか約1インチ程度に抑え込まれた。つまりこれは、「0.3フィート短くなったロッド」ではない。有効レングスは、1インチしか短くなっていないロッドなのだ。

全長短縮と等長3ピース化によって得られた最大の恩恵は、操作時に感じていた“わずかなダルさ”の完全な排除である。
キャスト時、ブランクスは迷いなく立ち上がり、節を意識させることなく一体で曲がり、余分な残振動を残さずに素早く収束する。そしてアクションは、全体をライトロックゲームのど真ん中へ引き戻した設計とした。

既存サビオは、「いかに軽いリグを快適にキャストし、操作するか」その一点を命題として磨き上げられてきたモデルである。しかし近年、ブレーキ制御や初速の立ち上がりなど、リール性能は大きく進化した。その進化を前提に、ロッド側にも明確な張りと芯のある復元力を与えている。
今作では、1gやアンダー1gといった極軽量域への過度な最適化から一歩距離を置き、ライトロックとして最も気持ちよく、満足度が高い領域へロッドの性格をはっきりと据えた。
極軽量リグ専用という役割は、今後構想されるであろう「弟サビオ」的な企画に委ねる。サビオ・エヴォは、シリーズの中核として、ライトロックの基準となる一本である。

設計思想:等長3ピース化と再定義

サビアは、もともと完成度の非常に高いロッドだった。フィネスロッドとしての成立度、操作感、イナシの質――すでに一つの完成形にあったと言っていい。
だからこそ、「さらにブラッシュアップする」という命題は、知久氏をはじめとしたラボのアーキテクトスタッフたちを最も悩ませた部分でもある。加えて、今作ではサビオが受け持つ守備範囲が拡大した。

その結果、サビアをどう磨き上げ、どう位置付け直すか、という再定義が必要になった。構造面ではサビオ同様、不等長3ピースから等長3ピース構成へ移行。携帯性の向上と同時に、ロッド全体のバランスと一体感を再構築している。だが、サビアの進化の核心は、ブランクそのものよりもガイドシステムの全面的な見直しにあった。

従来モデルでは、軽量リグを投げやすくするため、あえて「重さ」を活かす目的でステンレスフレームのガイドを採用していた。しかし、リール性能の飛躍的進化により、ガイド重量でキャストを補助する必要性は薄れた。

そこで今作では、よりシャープな振り抜け感とリグ操作性を最優先し、両モデル共通でチタンフレームのKガイドへ全面変更している。さらに今回導入したのが、これまでにないガイドセッティング理論だ。従来の「バットガイド」をやや前方へ移動し、その手前、バット部に新たな役割を持つ「リードガイド」を追加した。
このリードガイドは、リールから放出された直後のラインを最初に整えるためのガイドであり、横風や向かい風時に発生していたラインの膨らみや揺れを早い段階で抑制する。

その結果、ラインの揺れが原因となる糸抜けロスが軽減され、同時に、ラインテンションの変化がよりダイレクトに伝わることで、感度面でも飛躍的な向上を果たした。これは単なる配置変更ではなく、ガイドセッティング概念そのものを更新する進化である。






















































