レイズスぺクトラ RZS872S-Hの誕生秘話
テンリュウのトラウトロッドシリーズ「Rayz(レイズ)」の中で、サクラマスを専門に追い続けてきたアングラーなら、かつての名機「RZ87H」の存在を忘れることはないだろう。
初代レイズシリーズの中で、サクラマス専用として世に送り出されたこのモデルは、宮城・北上川水系を舞台に磨き上げられ、多くのファンに支持された一本だった。
時代は流れ、レイズは装い新たに飛距離性能の強化を求めて7インチ延長した現行のレイズ「RZ912S-H」が誕生している。
一方で、旧87Hの“攻めの釣り”に適した操作性を恋しがる声は絶えることがなかった。

その中心にいたのが、テスター・佐藤雄一氏。遠投は912に任せる。でも、ここぞという場所でルアーを操り、食わせるためのスペックは87Hが理想。
この思いが、現代技術での“再解釈”へ火をつけ、レイズスぺクトラとしてRZS872S-Hが生まれるプロジェクトが走り出したという。
このあたり、非常に興味深い内容が公式ブログにも綴られているので、ぜひぜひチェックしていただきたい。
“攻め”を形にしたロッド

ぜひ併せて公式ブログもチェックして頂きたいが、サクラマス攻略は、大別すると4つの戦略に分かれる。
・河川下流での広域遠投
・中流域での遠投+誘い
・支流・渓相でのテクニカルアプローチ
・湖や海でのランドロック攻略
レイズスぺクトラRZS872S-Hは、この中でも上から二番目の遠投と誘いを両立した中流域のゲーム に特化した設計である。

佐藤氏は1投1投に必ず“食わせの操作”を入れる。トウィッチ、ジャーク、小さな変化の積み重ね…。ただ投げ続けるのではなく、ルアーを“生かして”いく姿勢が、数少ないサクラマスのバイトを引き出していたという。
レイズスぺクトラRZS872S-Hは、その“攻め”を実現するための感度、反応速度、操作性のすべてを研ぎ澄ました一本だ
何が違う?スぺクトラ
では、何が異なり、何を残したか?
鋭く強い、C・N・Tコンポジットのブランクス
ブランクは端的にいえば細く、強く、鋭く。スペック表に並ぶ数字は旧87Hと似ている。しかし、触れた瞬間に違いは明らかだ。
高弾性カーボンを細く・厚く巻き上げる設計により、軽量化しつつパワーを維持。さらにC・N・T(カーボンナノチューブ)をバット部に複合素材として組み合わせ、不足しがちなトルクを補った。
結果、旧モデルよりシャープさと敏捷性が格段に上昇。“攻めの感度”が宿るブランクへと進化した。
ガイドは小口径多点ガイド
旧モデルの思想を受け継ぎ、小口径・多点のガイドセッティングを採用。ラインが常にブランクに寄り添い、余計なスラックを排除し、PE0.8号前後を基準に、佐藤氏が推すショートリーダー+ガイド外ノットにて最高の操作性が引き出される。
氷点下では凍結しやすいという弱点はあるものの、その環境を踏まえても、操作性の恩恵を優先したのだ。
わずか5mmにも宿る必然
新旧比較ではリアグリップは5mmの延長ということになる。だがこの差は小さくない。
厚着や釣りベストで動きが制限される冬季のサクラマス釣りでは、グリップが少し長いだけで脇挟みの動作が破綻する。RZS872S-Hはそのギリギリの“黄金比”を追求し、さらにエンドに向かって細く絞った絶妙な形状が、自然と手に馴染む設計になっている。
完成までの“長期戦”
サクラマスロッドの開発は、他のターゲットとは比べものにならないほど時間がかかる。釣期は短い上に、1〜2尾釣れたからといってロッドの真価は見えてこない。
佐藤氏と二人三脚で「1シーズン10本以上」を目標に、毎年ひたすらテストを続けた結果、最終的には“スペクトラ”の名に相応しい完成度へ到達したのである。
レイズスぺクトラRZS872S-H

| 品名 | タイプ | 全長 ( m [ft]) |
継数 (本) |
調子 | 仕舞寸法 (cm) |
ルアーウェイト (g) |
ライン (mono/lb) |
ライン (PE/号) |
リアグリップ (mm) |
先径 (mm) |
自重 (g) |
使用繊維 カーボン/グラス (%) |
本体価格 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| RZS872S-H | S | 2.62[8’7″] | 2 | R | 134 | 7-30 | 8-16 | 0.6-1.2 | 320 | 1.8 | 140 | 98/2 | ¥79,500 |
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