今江克隆のルアーニュースクラブR「冬のケムクジャラ最強戦略」 第1261回
今年は明らかに寒くなるのが早い。
地球温暖化のせいで年内はさほど寒くはないイメージが近年はあったが、今年の11月はちょっと晩秋?初冬らしい季節感のフィールドになりそうだ。
津風呂湖でクラシック開催
そんな例年以上に冷え込みを感じた先週末、ジャパンスーパーバスクラシックがはじめて関西の津風呂湖(奈良県)で開催された。
ソフトルアー禁止になりブタ皮ワームが主力となって以来、毎年河口湖開催でのクラシックは正直あまり興味がなかったが、今回の津風呂は関西FFS(フォワードフェイシングソナー)ライバーたちの聖地?&ナチュラルなリザーバー晩秋パターンが見られそうで結果には興味があった。
そんなクラシック初日、ある程度予想はしていたがイマカツ最強のFFSライバーである藤川温大プロが首位と15g差の4kgオーバーをマークし、上位2名が抜け出す展開にこれはまさかのTOP50初年度にして藤川プロの優勝もあるかもとワクワクさせられた。
同時にその初日終了後、その夜になんと奈良の津風呂湖から休日でだれもいないイマカツ事務所まで突然やってきたことにはさらに驚かされた。
その理由がTOP50最終戦のために間に合わせた「ダンベルクラブエラストマー」の数個しかない事務所用サンプルを受け取るためだった。
若さあふれる藤川プロとはいえ試合後即の奈良からの往復はかなりの体力ロスを覚悟のうえの来社であり、それの目的がたった2個程度の「ダンベルクラブエラストマー(EL)」サンプル入手だったことを知り、このルアーへの並々ならぬコンフィデンスを感じた。

クラシック初日4kg超え、首位に15g差で2位につけた藤川プロ。TOP50最終戦からわずか2個の「ダンベルクラブEL」を消耗し、初日終了後、大阪の事務所までサンプルのダンエラを受け取りにきたほど信頼していた。
残念ながら2日目はミスもありクラシック制覇は逃したが、はじめての津風呂湖戦で並み居る津風呂湖ロコたちを押しのけ5位表彰台を獲得したことは、藤川プロのポテンシャルの高さと信念、「ダンベルクラブEL」のポテンシャルの高さ双方を感じるには十分な結果だったように思う。

初日4kg超え2位、最終成績5位表彰台で初の津風呂湖開催となったジャパンスーパーバスクラシックを終えた藤川温大プロ。ライブサイトの西の聖地・津風呂湖のライバー超人の中で、新人として今年の成績は目を見張るものがある。
藤川プロの釣り方
そんな藤川プロの今回の釣り方は、やはり冬の訪れを感じさせる「毛モノ」でのバンクライブサイトだった。
今江的に今年の早くから強く感じたことは、「コイケ」、「クジャラ」に代表されるエラストマー製モジャモジャ系は、高水温時期より圧倒的に水温20度を切った中秋~初夏にその威力のピークを発揮するように思うようになった。
もともと自分も30年ほど前の晩秋のクラシック北浦戦で、ほぼ腐った米国製(絵のブタはアンクルジョッシュ??)の超剛毛のブタ脂身「ホッグヘアー(現在は検疫上輸入不能)」で圧勝した経験があり、その影響を受け豚毛のワーム「ヘアリーチャンク」を開発した。
そしてさらに今でも現役の超ロングセラー、通称「モジャオ」と呼ばれる当時では金型技術の究極だった8面体金型の「ヘアリーホッグ」「インチヘアリー」の開発に至る歴史がある。
「毛モノ」=「低水温の鉄板」であり、さらに浮力が高く低水温でも硬くならずに動くデロデロなポークは中秋から春にかけては琵琶湖時代も最強の武器となっていたもので、そのまさに現代版が「エラストマー製・豪毛モノ」となっていまや日本のみならず世界中で絶大な威力を発揮し始めている。

今江的印象では、何もしないでも自発的に動いている毛モノは、高水温期より晩秋から初夏までの低水温期にもっとも明確にその威力を発揮すると確信している。
ゆえに毛モノ剛毛モノが秋から春にかけて最強の威力を発揮するのは自明の理なのである。

これが今やホンマの幻、もはや手に入ることはまずない伝説の米国製・謎の「ホッグヘア(ヘアリーポーク?)」。毛&脂身付のブタ皮は検疫上、現在輸入は不可能だそうだ。(バックラッシュ様のWEBSHOP画像よりお借りしました。当然、売り切れですが…)
出典:バックラッシュ

「ホッグヘアー」で毛の威力に衝撃を受け、豚毛を植毛した不遇の迷作・イマカツの「ヘアリーチャンク」。やっぱ植毛量が部分的かつ、柔軟性不足だと効果はイマイチだった…。
2つの独自リグ
だが、今回のクラシックで藤川プロが使ったリグは、まさに現代のライブサイトの威力を最大限に発揮させる2つの独自リグだった。

藤川プロが津風呂湖バンクライブで使ったのは2種類のリグ。バレルワッキーリグとホバスト用に編み出した水生昆虫イメージのハルトリグだった。

ジャパンスーパーバスクラシック5位表彰台を獲得した藤川プロの最強リグ。上がバレルロールワッキーリグ、下が水生昆虫系ホバスト・ハルトリグだ。
一つは2.2gのジグヘッドをワッキースタイルに「ダンベルクラブEL」セットし、最大の特徴であるバレルロールアクションを最大限発揮させ、遠くのバスにでも小さな「ダンベルクラブEL」を「見つけさせ呼んで食わせる」バレルロールFFSライブサイトだ。

「ダンベルクラブエラストマー」の鉄板リグはジグヘッドワッキー。強力な面と硬い脚でのバレルロールは、その小ぶりなボディからは想像できない強力な水押し集魚パワーを発揮する。

オリジナル「ダンベルクラブ」の十八番アクションであるバレルロール。「ダンベルクラブエラストマー」はノーマル樹脂ラバーモデルよりはるかにパワフルでライフライクな波動を発生させる。
これは藤川プロがもっとも得意とするテクニックで、津風呂湖のバンク沿い3m水深付近にベッタリ隠れているFFSでも見えないバスをルアーパワーでおびき出し、画面に捉えてから透明度限界の6~8m付近まで追わせて警戒心を解いて食わせるハルト必殺のテクニックである。
早春のTOP50開幕戦野村ダムとかなり似た状況だったと本人は語っている。
そして第2のパターンが、これは少々驚いたが「水生昆虫」をイメージした「ダンベルクラブEL」の縦付けホバストである。
こちらは沖ライブで食い渋ったバスに過度なアピールをせず、毛のナチュラルなたなびきでシルエットを見切らせずにナチュラルに食わせるために藤川プロが編み出した新リグである。

ハルトリグは、ジーニアスのスクリューネイル1.8gを頭部の面に捻じ込み前進を制御、ホバストフックを写真のようにセットし抜群のフッキング率を確保していた。硬度と耐久力のあるエラストマーだからこそできるリグだ。
エラストマーの抜群の丈夫さゆえにできるシビアなセッティングで、フッキングの良さを最優先したリグでもある。
こちらは1.8gスクリューネイルに#4のホバストフック、PE0.4号にリーダー4lbを使用したそうだ。
余談だが、クラシックに先駆けること数週間前に開催されたU-30ドリームトーナメント津風呂湖戦でも、イマカツプロスタッフの安藤匠真プロが同じ「ダンベルクラブEL」のバレルロールジグヘッドワッキーで7位入賞し、年間ランキング3位に入賞していることからも、現代版毛モノのルアーパワーは間違いないものがあるのだろう。

「ダンベルクラブエラストマー」を絶賛している七色ダムの強豪・安藤匠真プロ。安藤プロはジグヘッドワッキーでのバレルロール仕様でU-30津風呂湖戦を戦った。

U-30で惜しくも年間3位入賞の安藤匠真プロ。津風呂湖戦での初日のビッグフィッシュ2本は2個だけ渡した「ダンベルクラブエラストマー」だった。
この「ダンベルクラブEL」、すでに本金型製作に入っておりこの冬にはリリース予定だ。
まだ面白いリギングやシークレットな使い方、硬さの差によるリグの使い分けなどもありそうで、ただ世に出したくないほど来春のTOP50本格投入がとても楽しみなルアーである。

本金型量産体制に入った「ダンベルクラブエラストマー」。今回は適正価格で全国のショップで販売できそうである。2026年にかけてもっとも期待できるワームのひとつだ。
さらに注目の毛モノが登場!


























































