今江克隆のルアーニュースクラブR「忖度ナシ!ハイエンドリールを本音でインプレッション」 第1256回
まもなく10月というのにまだまだ真夏並みの暑い日が続く今日この頃だが、今週は2025年上半期のロッド&リールタックルインプレをザクッと総括してみたい。
というのも、9月1日からピュアフィッシングとの契約が再開されたことで、今まで自腹で買って使っていたスピニングリールに関しても今後何を使用していくかも未定なので、忖度なく自由に書けるうちに約2年間(通常の人の釣行なら4~5年相当?)、フルに使ってみたハイエンド機種のインプレとベイトリールに関する現在地とホンネも書き残しておきたいからだ。
また「グラビアス」、ABUのベイトリールに関する今後の展開も少し触れておきたいと思う。
イグジスト
まずこの2年間、ダイワ、シマノのバススピン最高峰機種「イグジスト」と「ヴァンキッシュ」を真剣に使い込んできたが、まず忖度なく言えることは、共にさすがの機械的完成度の高さはどちらを選んでも必要十分、いや必要以上すぎるともいえる性能だったと言うことだ。
まず「イグジスト2500」に関しては、5台購入し全てST-SFチューンモデルにしていたため60万円を超えるとんでもない出費になったが、こと3.5lb以下、特に近年トーナメントの主流になりつつある0.6~0.2号の極細PEラインを使った釣りでは、もはや「これ一択」といっても良いほどの突出した性能である。
もうここは絶対に間違いない。
ただマグシールド除去のSTチューンをしないと正直、ハンドル回転の初動の重さは正直気になるので、淡水のみの使用ならSTチューンは面倒だが今江的にはマストだ。
そしてクイックドラグは全機種マスト、これも断言できる。
だがそれ以上に「イグジスト」が素晴らしいと思ったのは、2年間、デストロイヤーな自分がエグくハードに使い倒しても、全く故障がなく、むしろ回転の滑らかさは購入時よりさらに滑らかで軽快な機械的アタリが出て来ており、現在の方が購入時より素晴らしいという印象がある。

「イグジストST-SF-QD」は、ホンネでいっても3lb、0.6号以下のPEではこれ以上の存在はないといい切れる性能だ。2年使いこんでも更に滑らかになるギアフィーリングには驚きしかない。
強いて弱点があるとすれば、ハンドルの取り付けを雑にすると、ネジ山が結構柔らかいのであっけなくネジ山が崩れ、ハンドルが斜めに入ってしまって取り付けができなくなることがあった。
それ以外には文句のつけようがないスピニングリールではあるが、SFスプールはフロロ4lb以上だと日に1回程度のモモリングは発生するので、4lb以上をメインにするなら今江的には「エアリティ」のSTチューンのノーマルスプールを使っている。
エアリティ
その「エアリティST2500XH-QD」も5台購入したが、ぶっちゃけ、最新の「エアリティST」は、超高い「イグジスト」にする必要性があるのか?とすら思うほど、素晴らしいリールだと思う。
コスト比でいえば、ダイワのリールのベストバイは今江的には「エアリティST2500」系で必要十分だと思う。
「イグジスト」1台でほぼ2台の「エアリティ」が買えると考えれば、今江的には「エアリティST」を選ぶのがベストチョイスだと思う。
あと、「イグジスト」、「エアリティ」共に、絶対に「ハイギア(HH)」、それも「エクストラハイギア」が今のトレンドだ。
気持ちハンドル初動は重くなるが、それ以上にライブサイト全盛の現代バスフィッシングには絶対的メリットが多く、今ならこれもマストな性能である。

トータル的に見て今江的汎用機ベストチョイスと思ったのは「エアリティST2500」のEXハイギア、クイックドラグ付きだ。ST/SFはガチのトーナメンター専用って感じ。
ヴァンキッシュ
次に「ヴァンキッシュ」だが、こちらも2年間、2500(C2500)合計10台を使ってきたが、最大のメリットはやはり今や44mmで2500を標榜するスピニングリール界隈で唯一とも言える47mmのビッグスプールを搭載する2500Sだ。
このスプールと超密巻き、更に最も大発明と思っているローラー部分のライン落ち防止フィンの相性は最高で、4lb~6lbフロロではトラブルは皆無に近い。

「ステラ」も購入したが重量的にバスフィッシング向きとはいえなかった。「ヴァンキッシュ」は攻めるスピニングリールの相棒として2年間、最も酷使に次ぐ酷使されたリールだったと思う。
「エアリティST」は4lbまでは問題ないが、5lbになると正直少し厳しい。
今江的には「ヴァンキッシュ」で6lbフロロも日常的に使っており、ときに7lbも使うがほとんどトラブルがない。
「イグジスト」が細フロロ&細PEなら、「ヴァンキッシュ」は太フロロには唯一無二の良さを発揮してくれており、使い分けは明確になっていた。

フロロ5lb以上のヘビー&ワイルド系ワーム、そしてフロロ4lbでの超軽量ルアーでのサイトには、ラインツイストや糸落ちのトラブルの圧倒的少なさから47mm系の「ヴァンキッシュ2500S」が今江的ベストチョイスだった。
そしてドラグ性能において「ヴァンキッシュ」は素晴らしいのだが、やはり慣れてしまうとQDの利便性には及ばないだろう。
ただQDは全部QDにしないと、締め忘れトラブルで最初はエラい目に遭ったのでご注意を。
ただ耐久性においては、「ヴァンキッシュ」は2台が破損した。
1台はカーボンハンドルが試合時のランディング時にロッドグリップを踏んでしまいテコの原理で破損してしまった。
これは不可抗力だが、もう1台はメインギア?が何らかの理由で歯が欠けたようで、使用自体に問題はなかったがカチカチと回転時に微かな異音が発生し気持ち悪いので修理に出したらギア全交換になってしまい、ウン万円もかかってショックを受けてしまった。
正直なところ、フィネス中心の「イグジスト」に対し、「ヴァンキッシュ」は2年半ハードに使って、重いルアーを強引な釣りに使っていたこともあり、少々フレーム?かギア関係に緩みが出てきたような印象もある。

酷使した「ヴァンキッシュ」の異音はギアの破損だったようだが、自分の目で見る限り傷らしきものは見当たらない。だが、2年でベアリングを含め全交換でかなり高くついたことは唯一の残念だった。
事実、ハードな吊るし専用に使っていた「エアリティLT2500XH」は、釣りしている時にハンドル逆転現象が一度だけ起きたことはあった(一度なので未修理)。
ZENON(ゼノン)
ここまでが2年使ってみた簡単な両社インプレだが、結構適材適所って感じでうまく使い分けられていたと思う。
追記だが、先のTOP50桧原湖戦ではもう一度ABUの「ZENON(ゼノン)2500S」を使ってみたが、軽さとコンパクトさで「イグジスト」には及ばないが「ヴァンキッシュ」とは同じ2500Sであれば「軽さ」と「コスト」の優位性でいい勝負をしているというのが改めての感想だ。
今後、この軽さとコンパクトさを維持してスプールからの糸落ち巻き込み低減の工夫、各所の強度の向上して価格が維持できればイグジスト1台の価格で3台買える第三の選択肢としては十分アリだと思うので、今後のピュアフィッシングの開発動向に注目していきたい。
今江的には懐かしの47~48mm径シャロースプール搭載で現在の150gアンダーボディサイズ、滑らかさは「ヴァンキッシュ」相当と言う「ドデカコンパクト2500SXH」を、またまた懐かしの元祖・河辺プロQD仕様で開発して欲しいものである。

契約を切られる前年にデビューした「ZENON」。ようやくダイワやシマノに一点突破なら比肩できるリールが誕生したと思ったのだが…。コストパフォーマンスが高く、圧倒的な軽量性で悪くはない選択だと思う。
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