小笠原諸島で

△パワーマスターエクストリームの開発にあたり、小笠原諸島でビッグフィッシュたちを相手にしてきた大澤大介氏。今回は、大澤氏が体験してきたこと、小笠原諸島での遠征における準備などをご紹介していく
小笠原諸島。あらゆる釣り物の聖地として、アングラーの心を掴んできた。
本土の近海では味わえないダイナミックなフィールドと、トロフィー級のターゲットが待ち受けており、TENRYUフィールドテスターの大澤氏も、その魅力に取り憑かれたアングラーの1人だ。今回は「パワーマスター エクストリーム」のテスト地であった小笠原諸島で、実際に大澤氏が体験してきたことを紹介していこう。
(テキスト/TENRYU Staff 舟木雄一)
フィールドの特徴
小笠原諸島は、東京都の行政区ではあるが東京から南におよそ1,000kmの位置にあり、南日本気候の気候区分となり年間を通して温暖な地域だ。
訪れる方法はフェリーを利用するのが基本で、空路での移動手段はない。東京の竹芝桟橋からフェリーに乗船して、2泊3日でのコースが一般的で、もし3日目にフェリーに乗れなかった場合は、次のフェリーまで島に留まるしかなく5泊6日になってしまうので、遠征アングラーは釣りに夢中になって帰れなくならないように注意も必要だ。

フィールドの特徴として、海底より噴火して地形が隆起してできた地形のため、切り立った場所が多い。足元で17〜30m程の水深の場所もあり、キャストで届く範囲だと水深60mほどになるとのことだ。
サンゴや溶岩が入り交じる場所が多く、足元から沖に向かって3mほどの場所にテーブル状の張り出しがあって、ラインブレイクする原因となりやすい。後述するが魚とのファイトは、こうした地形も考慮してのテクニックや、タックル設定が必要になってくる。
ターゲット&タックル設定

主なターゲットとして、GT、イソマグロが挙げられる。狙うサイズとして20〜40kg級を想定されるとよい。
他に、カンパチ、キハダ、カッポレ、カスミアジ、コクハンガラハタ、バラハタ(チギ)、アオチビキ、スマガツオ、サメ…と多彩なターゲットで彩られる。
これらの魚種を狙う際、メインターゲットのタックルに標準を合わせて設定していこう。


△カッポレも小笠原諸島ではメジャーなターゲットといえるだろう
ちなみに大澤氏のタックル設定は以下の通りだ。
パワーマスター エクストリーム PMX872S-XXXおよびPMX1073S-XXP(TENRYU)

| 品名 | タイプ | 全長 ( m [ft]) |
継数 (本) |
調子 | 仕舞寸法 (cm) |
ルアーウェイト (g) |
ライン (PE/号) |
最大ドラグ (kg) |
リアグリップ (mm) |
先径 (mm) |
自重 (g) |
使用繊維 カーボン/グラス (%) |
本体価格 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026 PMX872S-XXX | S | 2.62[8’7″] | 2 | RF | 136 | MAX200g (Plug 80-180g , JIG 120-200g) | PE 6-10号 | MAX15kg/45° | 495 | 3.2 | 408 | 99/1 | ¥87,500 |
| 2026 PMX1073S-XXP | S | 3.23[10’7″] | 3 | RF | 115 | MAX180g (Plug 80-150g) | PE 5-8号 | MAX14kg/45 | 545 | 2.8 | 462 | 99/1 | ¥106,000 |
3本を持ち込む事が多いが、上記2本と同クラスのロッド1本を予備としている。
ステラSW18000HG(シマノ)
PE8号を基準にした設定。スペアスプールに予備ラインも巻いておく
PE 6〜8号(山豊テグス)
8号が基準、体力に合わせて6号でもよい
スペーサーリーダーPE20〜30号 3〜10m 大澤氏は10mを採用
180lbs 2〜3ヒロ(山豊テグス)
ロッドが8’7″(ft)の場合2ヒロ、10’7″(ft)の場合3ヒロ
220lbs 30cm (山豊テグス)
ファイティングリーダーなしの場合もある
ランディング用品
フライングギャフ/ランディングシャフト/ロープ
クーラーボックス
氷、ドリンク(多め)、食事
アプローチ&ファイト
リールのドラグは、初期値で10〜12kgに設定し、状況によってドラグ値は変えていく。
前述の通りサンゴや溶岩帯で形成されたフィールドで、足元から3mほどテーブル状の張り出しが出ている場合があり、そこにラインが触れると切れる恐れが多い。
従ってキャストを開始する前に、ランディングするポジションも想定しておき、ヒットしてからランディングするまでの流れを作っておく。どこを狙うか、何のルアーを使うかなどは、アングラーの好みにも分かれるので割愛しよう。ヒットしてからの方が大事で、そちらの方を重点的に解説しておきたい。

△カンパチ7kg。フィールドのポテンシャルはMAXだが、簡単に釣れる…とはまた違う。準備、イメージが重要だ
イソマグロやカンパチの場合、ヒットしたらとにかくリールを巻くことに専念する。「苦しくても巻く」と念を押されるほどで、根に走る魚種のため少しでも相手に隙を見せず主導権を渡さないためだ。
イソマグロは鋭い歯で噛みつくバイトのため、ルアーを噛んだままフックアップされないこともある。急に走り出して緩んだ際にバレることも多く、ロッドを長くしテンションを抜けにくくすることでバラしを少なくできるとのことだ。

スマガツオは8kgほどまで狙えるが、美味しい魚はサメも好物らしくヒットして寄せてきてもふた口で食べられてしまうらしい。厄介なことに何度も同じように釣ると、狙うスポットにサメが居着いてしまうため用心したいところだ。
キハダもタイミング次第で回遊しており、キハダの場合はヒットしたら沖に走るため、イソマグロなど根に走るターゲットに比べると比較的イージーにキャッチできるとのことだ。50kg級をショアからキャッチしている大澤氏だからこそ言えることであって、常に対大物とのファイトを想定しておかないと、いざ掛けてから何もできずに終わることも少なからずある。タックルの準備と、入念なファイトのトレーニングは必要不可欠だろう。
暑さとの闘い
大澤氏は、2023年から2025年の3シーズンのうち、梅雨時期に小笠原を訪れている。この時期は気温と湿度が大変高く、熱中症になる恐れも大いにあるため注意が必要だ。

△会心の一尾は、万全の準備をしてこそ
大澤氏の経験談だが、水分の摂取はOS1が必須でポカリスエットは効かなかったと言う。暑さで食事も喉を通らない時は、レトルトのお粥も良いらしい。
糖分の摂取には、和菓子の羊羹を持ち込むのも手だが、暑さで食べ難くなる場合は練乳を吸うのもありらしい。渡礁してしまうと日陰になる場所も少なく、強い陽射しに焼かれるため、ウェア類も肌の露出を少なくするのことも必須だ。
虫との闘い
気温が下がると、どこに居たのかコオロギやシミが無数に出てくるようだ。暑さも大変だが、虫が苦手な方にはなかなか大変なことでもある。さすがは秘境ともいえるが、漁場が豊かということは、丘の上も豊かというわけだ。
タックルバッグなど開け放しにはせず、虫が入らないように対策をしておくのも良いだろう。その代わりではないが、夜空が大変キレイとのことだ。釣りを終え、宿に戻った際は夜空を見上げて欲しいとのことで、都会に住む方にとっては見たこともない星空が楽しめるという。
遠征のマインド
遠方のフィールドに遠征すれば、簡単に釣れるといった気持ちに陥りやすいが、大概は厳しい条件であることも多いのが実状だ。
雨や風、波が高く行きたいフィールドに立てない場合もある。
しかし、それを差し引いても小笠原は別天地であり、夢を追いかけたくなるフィールドでもあるわけだ。
色々と制約は多いかもしれないが、一度とは言わず何度も行ってみたいと思わせてくれるフィールドだろう。
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