今江克隆のルアーニュースクラブR「TOP50開幕戦報告とライブソナー規制の動向」 第1278回
アナログ戦略の限界
そして今回の開幕戦でもう一つ感じた傾向が、アナログ戦略の限界でもあった。
今回、本番前のチャプターでは西の川に大量の見えバスが差し始めていたことから、河野正彦プロはライブを完全に捨て西の川最上流のサンドバーで「スキップドッグ」のボトムジャークで初日4,900gのトップウェイトを出すことに成功した。そして、朝が暖かかった2日目には初日1尾だった山岡計文プロが今度は北山川最上流放水口付近で朝一1時間で、「リグラー」のネイルリグ、「イールクローラー9インチ」のグライドリグで、なんと3尾6kg超えの大会トップウェイトをマーク、一躍優勝争いに加わった。

初日3尾4900g超えのトップウェイトを西の川サンドバーで、「スキップドッグ」のボトムジャークでマークした河野プロ。リアルサイトだけならばTOP50で最高レベルのプロだが、彼も16インチライブソナーは装備している。

初日のトップウェイトを出した「スキップドッグ」。サンドバーの一定ルートを群れで回遊するバスを狙う釣り方。バスの目線の下にラインを敷いて、ラインをバスに見せないことがキモだ。

2日目、3,300gのビッグフィッシュ賞を含む大会トップウェイト6100gを出した七色仙人・山岡プロ。2日目、誰もがパスした北山川最上流フラットに差してくることを予測し、朝の1時間で勝負を決めた。

大会トップウェイトを出した山岡式「リグラー」のネイルリグと「イール9inchスリム」のグライドリグ。ともに2~3mハードボトムでナチュラルボトスト的に使ったそうだ。

山岡プロがメインに使っていたのは「リグラー」のネイルリグ。ボトムに当たるシンカーの音を消すためにネイルを頭部に2本挿入。ボトムをI字状態でスーッと巻いてくる使い方だ。
だが、結果的に河野プロは2日目、3日目を西の川最上流サイトでしのぐも1尾のみ、山岡プロは決勝を北山川最上流放水口付近で勝負したがノーフィッシュ、安定して3日間を釣ってくるライブ勢にまくられ、7位、8位と表彰台を逃した。

FFS時代でなければ最強TOP50プロの一人だったであろう河野プロ。16インチライブを搭載しながらそれを一切使わないスタイルにこそ彼の強みはある。だが、時代はそれで生き残れるほど甘くはない。

3日目、完全に沈黙してしまった北山川最上流放水口前。1尾でもキャッチできれば完全なアナログスタイルで表彰台は確実だったが…。
もし今回がアナログ時代だったなら、河野プロ、山岡プロはほぼ優勝かそれに準ずるハイスコアだったと言っても過言ではないだろう。単日や大会トップウェイトは出せるが勝ち切れない、この辺は実にイマカツプロらしい…と言えば言えるのだが…。
結論的に今のTOP50では、もはやGARMIN16インチの複数台標準装備、そしてそれを高次元で使いこなすライブサイト技術はもはや絶対的基本技術レベルであり、並のライブ能力ではもはやアドバンテージにはならない。かといって、アナログ流で勝負してもリアルサイト能力ではTOP50最高レベルの能力を持つ河野プロでも表彰台を逃し、七色ダム湖畔に長年住み七色を知り尽くした山岡プロをしても「安定3日間ハイスコア」は極めて厳しい。
いまやTOP50で年間TOP5に入るためには、最高レベルのライブサイト技術を絶対的に修得した上で、なおかつ圧倒的練習量の多さで身につけたアナログ的釣獲力、スポット発掘力、さらに流行の後追いルアーを使うのではなく、まだバスが知らない独自のルアーを見つける能力の双方が必要な時代になったように思う。ライブのみ、アナログのみであれば年間10~30位内はなんとか獲得できるかもしれないが、TOP5に絡むことはよほど運が味方してくれない限り難しいだろう。
このように今回の開幕戦は自分にとって3度目の全面本格ライブサイト実戦訓練試合となった。あともう少しで予選通過できていただけに悔しさは残るが、本番でしか得られない確かな進歩を得られた試合になった。ただ、この試合終了後、もうないと思っていた今試合一番の衝撃だったJB本部発表が綿井副会長より通達された。
FFS使用規制の検討
それは今季B.A.S.S、MLFで事実上公式試合の一部でFFS使用禁止規制が実行されたことで、来季TOP50シリーズからアメリカにならってTOP50シリーズでのFFS使用規制の検討を開始するというものである。

開幕戦終了後、まさかの衝撃的発表があった。それは来季TOP50のFFS規制案検討開始の報告だった。自分にとって規制は有利な条件だが、ライブでも一流選手になりたいという想いが今の最大のモチベーションなのだ。
3年前もB.A.S.Sでライブソナーの総積載台数(積載モニター面積規制)が決まった折、JBでも同様の規制をする旨の発表が桧原湖戦であったが、自分をはじめ多くの反対意見でいったん規制は見送られていた。
だが昨年末にB.A.S.Sエリートの「試合約半数でのFFS全面使用禁止」が決まったことで、高額なGFG 22インチを導入するか否かにあたって、TOP50も今後何らかの規制があるのかと本部に確認を入れた際には「特に規制なし」との報告を受けて購入しただけにかなりショックな発表となった。

昨年末JB本部にFFS規制はないことを確認してから思い切って購入したGFG22インチモニター。超高額の上、セッティングに四苦八苦しただけに、どうせ発表するならもっと早くに規制検討の発表はしてほしかった。
アメリカでのFFSの規制理由は、ベテランエリートプロたちの過剰なデジタル化反対意見やルアーメーカーがライブサイト用の特殊なルアーしか売れない偏った現状から、FFSあり、FFSなしの試合が混在するルールを試験的に今年から制定したようだ。
一方、JBでは日本のバスフィッシングのマーケット縮小、バスアングラー人口の減少、ひいてはトーナメントプロを目指すアングラーの急激な減少に大きな危惧を抱いており、現在の「TOP50の釣りと一般バスアングラーの釣りの大きな乖離に歯止めをかけたい」というのが理由のようだ。
確かに今やFFSはTOP50での最低装備最低技術のような存在になっており、TOP50にエントリーできても日本全国をトレイルするためのボート、車のみならず満足なFFS装備(エレキを含めると最低数百万円)にかかる初期投資は莫大なものになっている。その初期投資をTOP50参戦で回収できているプロは一体何人いるのか、正直、ほとんどいないのが現実だろう。

もはやTOP50でのハイスペックのFFSは基本装備であり基本技術。一般アングラーから見ればFFSありきの釣りはあまり参考にもならないことは確かだが…。投資金額は普通車一台は余裕で買えるほどの高額だ。
現実として、今季のTOP50で昨年年間30位以下のメンバーのほぼ全員が残留しているのは、それだけTOP50昇格権を得ても経済的にトレイルを続けられるアングラーがいなくなっている裏付けでもある(次期参戦人数が規定人数に届かない場合、前TOP50プロが30位以下でも繰り上げ優先残留できる。)
そしてメーカー的にも、昔はトーナメントで上位入賞したルアーはダイレクトに売り上げに直結したが、近年のTOP50ではウィニングルアーもFFS前提での釣りになると一般アングラーに対する販促効果はないに等しいものになっている。トーナメントプロの釣りやスタイルに憧れる多くのファンに支えられていたTOP50が、一般アングラーからの支持や興味を失えば組織の存続もメーカーの協賛もいずれ消失してしまう可能性は否定できない。その点から見れば、FFS問題はアメリカより日本ははるかに深刻であることに間違いはない。
極めて複雑な気持ち
今回のJB公式発表は、来季に向けて一般アングラーに向けてのアンケートや選手へのヒアリングを経て来季のFFS規制ルールを「検討する」というものであって、まだ決定ではない。もし来季、アメリカが全面解禁となればアメリカに通用するTOP50選手を育てるために日本でFFS規制をする意味はなくなるだろう。ここまで必死こいてライブを極めたくて肉体的にも経済的にも頑張ってきた今江的には極めて複雑な気持ちである。しかし、トーナメントは一般アングラーが興味を持ってくれて、多くのファンに支えられて初めて存続できるものである以上、一般アングラーが憧れ、釣りに行きたくなる姿を魅せることがプロの仕事であることに間違いはない。
ただ、ただである。どうせそれいうなら22インチに投資する前にいってくれよな…わざわざ確認したのに…(´;ω;`)

























































