2026春・INXロッド進化論~ミドルゲームという、広島発・現代オカッパリの最前線~
ミドルゲームという考え方は、流行やマーケティングから生まれたものではない。
広島というフィールドで、日々オカッパリに立ち続ける中で、どうしても必要になった釣りとして立ち上がってきた概念だ。

レオン 加来 匠(Kaku Takumi) プロフィール
ミドルゲームを成立させる武器
ライトゲームでは届かない。だが、ヘビータックルを持ち出すほどでもない。足元から一段沖表層の下、ブレイクの向こう側――そうした“あと一歩”のレンジを、ライトゲームの感覚のまま、知的に、確実に攻略したい。

この要求は、広島だけの話ではない。全国の港湾、河口、サーフ、堤防。プレッシャーが高まり、魚が一段奥へズレていく現代のオカッパリにおいて、同じ課題は確実に共有されている。
だからこそ、ミドルゲームは「広島発」でありながら、全国共通の最前線なのだ。
そして今回、そのミドルゲームを成立させるための“武器”が、ようやく形になった。それが、ベイトロッドの「エル・パンテーラ」とスピニングロッドの「エル・マーベラ」。


インクスが長年現場で磨いてきたミドルゲームという思想を、道具として正しく翻訳した2本である。
el Pantera(エル・パンテーラ)

エル・パンテーラは、現代オカッパリに欠かせないリグとなった「フリリグ」を強く意識して設計されたミドルゲーム用ベイトロッドである。
ジグ単ゲームやテキサスゲームはもちろんのことだが、フリリグ特有のシンカーとルアーが分離する挙動、着底までの間、そしてボトムでのわずかな変化――それらをベイトタックルならではのラインテンション管理で把握し、意図通りに操作できることを前提に、ブランク全体が組み立てられている。

7.2ftというショートレングスに収めながら、有効レングスで7.4ft相当を確保した設計は、ピンスポットへの打ち込み、レンジの刻み分け、根掛かり回避後の即応性といった、オカッパリ特有の要求に直結する。
一方で、エル・パンテーラはボトム専用ロッドではない。いざという時の表層プラグゲームにも高い対応力を持たせている。トップウォーターやシャローランナーを用いた短距離・高精度のキャスト、巻き始めの初速、ラインスラックの回収…云々。

思考を切り替えることなくアプローチを移行できる懐の深さが、このロッドの大きな武器だ。
リールシートには、富士工業のフラッグシップ「技徳」を採用。ボトムを感じ、表層を操り、瞬時に釣りを組み替える。そのすべてを安心して預けられる支点があるからこそ、パンテーラは現代オカッパリにおけるベイト・ミドルゲームの中核として成立している。チニング、シーバス、ハタ、マゴチ、タチウオ。現場が要求する釣りに、自然と応えてくれる一本だ。


el Mávela(エル・マーベラ)

エル・マーベラは、「もう少し先へ届かせたい」という極めて現場的な欲求から生まれた。
軽いルアーを扱いながら、ミドルからミドルヘビークラスまでを視野に入れる。一見すると相反するこの要求に、正面から向き合った設計思想が、このロッドの出発点だ。
8.8ftというロングレングス。だが、その長さを振り回すためのものにはしていない。ライトゲーム的な操作感を保ったまま、距離とレンジを一段押し広げる。それが、エル・マーベラの役割である。闇磯メバリングにおける1g前後のジグ単での繊細な操作から、フロートリグによる遠距離攻略、状況次第ではライトジギングやエギングまで――オカッパリで必ず訪れるシーンの切り替わりを、一本で繋ぎ続けるために設計されている。

その思想を成立させるため、マーベラにはローフットガイドを起点としたニューガイドシステムが採用された。ラインの初期挙動を抑え、軽量域では操作感と感度を損なわず、重量域では抜けの良さを阻害しない。軽さから重さへ、同じ感覚の延長線上で扱える理由が、ここにある。

フロートアジングにもバツグンの親和性がある
ルアーを遠くへ運ぶことで、釣り人の視野と選択肢が一段広がる。立ち位置、コース取り、アプローチの組み立て――そうした判断を、余裕をもって行える時間と空間が生まれる。
長さは、力ではなく、思考のために使うもの。エル・マーベラは、その余白を釣り人に委ねるためのロングロッドである。
ここでもリールシートは「技徳」。ロングロッドにありがちな操作の曖昧さや不安を排し、感覚の芯をブレさせない支点として機能する。メバル、アジから、シーバス、チヌ、イカまで。全国のオカッパリで、ミドルゲームを成立させ続けるための射程を、この一本は持っている。


el Carrera(エル・カレラ)
最後に、現在進行中のプロジェクトとしてエル・カレラの進捗状況について触れておきたい。
エル・カレラは、7.7ftのスピニングロッドとして開発が進められているモデルで、ミドルゲーム伝道師であるプロスタッフ橋本祐助が完全監修を行っている。
狙うのは、瀬戸内のナイトゲーム。メインターゲットはマダイ、キジハタ、そしてビッグメバル。釣法としては、本流のボトムをジグ単でドリフトさせながら、極めて微細なバイトを捉えるスタイルが中核となる。この釣りは、ロッドに要求される要素が非常にシビアだ。感度、追従性、張り、そして戻り。どれか一つでも外せば成立しない。そのためエル・カレラは、インクスラボエンジニア陣の中でも最も頭を悩ませているプロジェクトとなっており、度重なるサンプル作成と検証が続けられている。
現在は、発売目標を約1年後に設定し、鋭意開発を進行中だ。ミドルゲームという思想のさらに核心へ踏み込む一本として、エル・カレラは静かに、しかし確実に前進している。
ミドルゲームという「今」
ミドルゲームは、新しいジャンルを作りたかったわけではない。ただ、現場で一番必要だった釣りを正直に突き詰めた結果、そう呼ばれるようになっただけだ。広島で生まれ、全国のフィールドにそのまま当てはまる。それが、現代のオカッパリが立っている場所だからだ。

ベイトで詰める エル・パンテーラ。スピニングで広げる エル・マーベラ。そして、瀬戸内の本流ど真ん中を突き詰める エル・カレラ。
これらはすべて、ミドルゲームという時代の必然に対して、インクスが差し出している現在進行形の答えである。

























































