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今江克隆のルアーニュースクラブR「次世代ベイトフィネス『PEパワーベイトフィネス』時代がまもなく到来」 第1265回

連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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最適なリールとは?

ただ、その後、またPEパワーベイトフィネスを頓挫させる事件が起きる。2021年にABUをまさかのクビにされたのである

ABU×REVIVEで進行していたPEパワーベイトフィネスは自動的に消滅し、その前にグラビアスをTOP50クオリティに進化開発させなければならなくなったのだ。 グラビアスはKTFの力を借りてTOP50クオリティに進化したが、残念なことにスプールが34mm径と大きいKAHEN式スプールはPEパワーベイトフィネスとは相性が悪かったのである。

2020年当時はLX992RSのPEパワーベイトフィネスへの適応性の高さは際立っていた。LX992RSで確立しようとREVIVEと企画していたが、翌年、ABUにクビを宣告された…。

ライン自体が圧倒的に軽いPEパワーベイトフィネスでは、スプールはそれ以上に軽く、糸グセがつかない性質からも小径化は必須条件だったのだ。回転の慣性パワーでロータープレートがマグネット方向にせり出す可変式では、強く打ち出すと軽いPEラインでは初動の立ち上がりがフロロに比べあまりにも鋭すぎてブレーキが強烈に効きすぎる反面、初動以降の放出はラインの軽さによって慣性モーメントが急激に弱まる。そのためスプールを回し続けることができなくなり急失速するのである。 これを回避するには初動から力を抜いた「初動を抑えた優しく弱い振り」で振り込むしかない。だが、これだとベイトタックルならではの強引性や貫通性能、フルキャストやパワーキャスト等の汎用性は一気にしぼんでしまうのだ。何より強い向かい風やターゲットとの間合いが長短とたびたび変化する局面では致命的に難しくなるのだ。この当時からもPEパワーベイトフィネスにはやはり31mm径に小径化されたLX992RS REVIVEが最適なリールだった。

高比重シンキングPEライン

そんな理由で細々とPEパワーベイトフィネスにボロボロのLX992RSを使いながら、ほぼ断念しかけていたPEパワーベイトフィネスだったが、昨年初夏に転機が訪れた。ABUの復活、そして東レモノフィラメントのヤル気復活である。この2つの復活によってPEパワーベイトフィネス開発は大きく前進した。 なんと剛性の高いシャフト式ながら30mm小径超軽量浅溝マグネシウムスプールをオプション装備できる「ZENON LTX」の再登場(今年12月再入荷決定済み)、そしてベイトフィネス、PEパワーベイトフィネス両方に最も汎用性を持つ32mm径の軽量浅溝マグネシウムスプールをオプション装備できる「ZENON CORE」が登場したのである。

マグネシウム製30mmのスプールをオプション装備する可動式ローターのZENON LTXは、今後超軽量PEパワーベイトフィネスのチューニング母体としてどこまで進化するか興味津々だ。

同じくマグネシウム製32mmスプールをオプション装備するZENON CORE。32mmの汎用性の高さを活かし、今後REVIVEが手塩にかけてフルチューン、ベイトフィネス、PEパワーベイトフィネス用にRS化する注目の新機種だ。

この2機種の登場は自分にとってもREVIVEにとってもPEパワーベイトフィネスにおいてこれ以上ない朗報となった。

同時に東レモノフィラメントで同時進行で開発してきた高比重シンキングPEラインのほぼ完成によって、PEパワーベイトフィネスにおける脆弱な慣性モーメントの解消が果たされた。ナイロンより重く、フロロより軽い設定の「高強度・耐摩耗性重視の高比重PEライン」の実現のメドが付いたことにより、PEパワーベイトフィネスの不安定なキャスタビリティを劇的に向上させることになった。

感覚的には通常のフロロラインでのベイトフィネスを扱う感覚に近い状態でラインをPE化できるコンセプトのPEラインである。

東レモノフィラメントが体制を一新し、本気でPEラインの開発に取り組んでくれた。2026年フィッシングショーでは新たなフロロとPEがお披露目されるだろう。PEはあとはカラーリングの決定だけだ。

この新たな東レモノフィラメントの高比重PEラインの実現化に伴って、思わぬ二次的効果ももたらされた。それは、現在最終段階を迎えた、今江的Graviusの過去最高傑作と自信を持っていえるフルオートバーサタイルフィネス機・ブラックレイブン改め「Gravius/REVIVEナイトレイブン」でのPEパワーベイトフィネスにも高レベルで適応を得たことだ。

Gravius史上最高機種と称するGravius Knight Raven。最終的にRSを冠するにふさわしい自信作となったため、LX992RS/REVIVEを引き継ぐレッドスプールに決まった。2月には市場デビュー予定だ。

このナイトレイブンは34mm径ながら、スプール内溝の切り方によって糸巻き量を減らすことで小径スプールと似た効果を得られるバーサタイル性能が特徴だ。

31mmのLX992RSや30mmのZENON LTXマグネシウム、32mmのZENON COREが「ルアー総重量7g以下(スモラバ3.5g+トレーラー3g)に特化したベイトフィネス、PEパワーベイトフィネス専用機」とすれば、Graviusナイトレイブンはルアー総重量7g~18g(テキサスシンカー4~7g+高比重ワーム4~10g)を最も高精度に気持ちよく高度なピッチングからフルキャスト、クイックキャストまで、トラブルを極限まで減らし、オートマティックに使いこなせるバーサタイルフィネス仕様に仕上がっている。

もっとも汎用性の高い34mm径のREVIVE製スプールを搭載したGravius Knight Raven。今江的にはGravius史上最高機種として現在主力として使っている機種だ。PEパワーベイトフィネスにも対応する。

Gravius、ABU、東レモノフィラメントのPEライン、三者ともに2025年フィッシングショーには公式デビューが予定されている。次世代PEパワーベイトフィネス新時代の到来は目の前だ。

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