ルアーフィッシングのトピックをこまめにお届けする釣りの総合ニュースサイト

LureNews.TV YouTube Channel

今江克隆のルアーニュースクラブR「ベイトフィネス用リールの最新動向」 第1262回

連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
  • X
  • Facebook
  • Line
  • はてなブックマーク

2025年も残すところわずかになってきた今週は、今年のオフシーズンに期待できるABUの新型ベイトリールを中心に、新型「グラビアス」、さらに「グラビアスKTF/AURORA」の最新情報を紹介してみたいと思う。

まずその前に今年9月、縁あってまたピュアフィッシングジャパン・ABUとの契約が再スタートすることになったことは、すでにここで書いた通りだ。

4年前、ABU100周年を祝ったその年の11月に35年以上にわたる契約を突然打ち切られることになるという、まさに青天の霹靂としかいいようのない衝撃だったが、外資系によくある海外支社(日本)の経営トップ交代による方針転換のため、あらがうすべはなかった。

だが、このときここに記した「企業としてのピュアフィッシングが変わろうとも、後にも先にも、「ABU GARCIA」のリールは、自分のバスフィッシングの歴史であり、バス釣り人生の掛け替えのない伴侶だったことには何も変わりはない。」との気持ちは消すことはできなかった。

この3年間は結果的にお互いを必要とするともに歩んだ長い歴史の再確認になったとも今は思える。

その経緯記事を添付しておくので、興味があれば読み直してみてほしい。

今江克隆のルアーニュースクラブR「ABU創業100周年!ABUと私、今江克隆のABU FOR LIFE」の巻 第1042回

今江克隆のルアーニュースクラブR「残念なご報告と新プロジェクト始動!」の巻 第1082回

今江的にはABU史上最高のBFモデルは「LX992RS REVIVE」。海外でも評価が高く、海外限定販売で今年再生産されることが決まった。

ZENON LTX

さて、このような経緯もあったが、不思議なもので何の予感か実は自分がABUを離れたときに新製品としてリリースされた、鳴り物入りの新型「ZENON(ゼノン) LTX」がどうしても気になって、ひそかに手に入れて使ってみた時期があった。

この新型LTX、実はかつて「レボMG EXTREM」というABU史上もっとも優れたスピニングリールを設計したピュアフィッシングジャパンの開発者が当時極秘裏に開発していたもので、正直コレが出たときは少し嫉妬したものである。

このときのピュアフィッシングジャパンの開発者は、現在は役職が大きく変わったがKTFの沢村氏、REVIVEの武本氏(ABU公認チューナー)にも匹敵する、リールを一から設計できる本物の技術者である。

だが、この「ZENON LTX」はJB/NBC協賛も外れたこともあり、トーナメントではまったくと言っていいほど名を聞くことがなく、アメリカではベイトフィネスの需要がほぼないため発売2年を待たず事実上、生産中止となった。

ABUの歴史に残る不遇の名作?ZENON LTX。何気に恐るべきスペックのハイパフォーマンスBFリールであったことが全然世間に知られていない残念過ぎる名作。

ABU史上最高傑作のBF専用機の「母体」

しかし、実はこのLTX、正直、自分が初めて使ったときはとんでもない衝撃を受けてしまった。

すべての機構において、特に日本のフィールド事情を考慮すれば、紛れもなくABU史上最高傑作のBF専用機の「母体」だったと断言できる。

その軽さ、ハンドルグリップの素晴らしさ、抜群のロープロバランス、カチッとした堅牢さもさることながら、もっとも驚いたことはオプション設定されていたBFスプールとそのブレーキシステムだった。

ハンドルもドラグもカーボン製。ノブも素晴らしい。費用対効果で見ればこれほどお買い得なリールもなかなかないように思う。

これまでほとんどメディアなどで触れられていないので知っている人は少ないと思うが、実はこのLTXのブレーキシステムはKTF/KAHENに匹敵するローターが回転に応じて迫り出すローター稼働式マグネットブレーキシステムを採用していたのである。

しかもシャフト式にもかかわらず超軽量化のためにマグネシウムスプールを採用し、さらには驚きの「スプール径31mm」という超小径化までされていたのである。

これはシャフトレスの超軽量スプールにじゅうぶん匹敵するもので、強度と塩水により腐食に弱いとされていたマグネシウム素材をじゅうぶんな強度と防錆性能に仕上げていたからさらに驚きである。

実際に結構使い込んでみたが、そのままでも戦闘能力は非常に高い。31㎜のマグネシウムスプールに、ローター遠心力可動式マグネットブレーキは正直驚きだった。

実際に使ってみて最初に思ったことは、「これをもし当時ABU契約プロだった自分、そして小森嗣彦プロや青木大介プロがTOP50でガンガン使っていたら、間違いなくABU史上最大級にブレイクしたよな…」という、なんとも悲しい事実だった。

さらにその構造をリバイブの武本氏に見てもらうと、ABU特有とも言えるチューニング余白が存分に残っており、武本氏も「これをほぼ誰も知らないって本当にもったいないですね…さらによくできると思いますよ。」とため息をついていた。

自分がこの「ZENON・LTX」をグラビアスで超えるには、沢村プロのKTF/KAHENの力、さらにシャフト式のグラビアスをスプリットシャフト化するしか不可能だと思ったからにほかならない。

事実、現時点においても34mm径をもちながら、「ワスプ55」や「ジレンマ」など本来スピニングタックルで使う空気抵抗の多いプラグを、強風下に風上に向けてノントラブル、ほぼサミングなしでもフルキャストできるのは「グラビアスAURORA・KTF/Finesse」以上のベイトリールは今も存在しないと断言できる。

今江的にLX992RS REVIVEとともに絶対に手放せない名機・GraviusAURORA・KTF/finesse。自分の位置づけではベイトフィネスでも軽量プラグ、軽量チャター、高比重ワームなどの思いっきり撃ち込み系に愛用している。

空気抵抗の大きいスモールプラグでは唯一無二ともいえる突出したアンチバックラッシュ性能を発揮してくれるKTF/finesse。このリールがなければ自分の巻物は成立しないレベルだ。

この部分に関してはドシャロースプールながら12lbを50m以上確保できる34mm径ならではの恩恵と、劇的な軽さを誇るスプリットシャフトのKAHEN/Finesseスプールにしかできない突出した性能だと確信している。

シャフトレスのKTF/finesseは驚異的な軽さを誇る。しかも34mmなので13lbを50mは余裕で巻けるうえ、超軽い力&狭い振り幅でも遠くに投げられるため、自分は3/8ozチャター、3/8ozスピナーベイトにもKTF/finesseを使う。

だが、一方でグラビアスはボディ自体がLTXにくらべひと回り大きく、恐ろしく扁平かつ超がつくほど軽量化されたLTXには超シビアなTOP50クラスのベイトフィネス戦ではどうしても敵わない部分があった。

その部分は自分のトーナメントの釣りの「核」となる部分でもあるため、どうしても戦略的に必要なときはABUをクビになった前年にリリースされた「LX992RS REVIVE」を「グラビアスKTF」と併用することを青木代表に承諾してもらったのが今にいたる経緯である。

最終戦でもリップがデカくて投げにくい「ドノーシャッドハイピッチ」を迷いなく風上にフルキャストできるGraviusAURORA・KTF/finesseがメイン。コンポジットグラスで扱うスモールプラグとの相性は超抜群。

もうすでに「ZENON LTX」は販売を終了しているが、間違いなくABU史上の残る「不遇の名作」である。

「ZENON CORE」、「ゼネレウス」、「ナイトレイブン」、最新ベイトフィネス用リール情報!

1 / 2
次へ
釣りの総合ニュースサイト「LureNewsR(ルアーニュース アール)」