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今江克隆のルアーニュースクラブR「TOP50シリーズ閉幕〜年間ランキング26位の価値〜」 第1259回

連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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決勝

そして決勝は案の定、またノーフィッシュとなった。

だが実は「リトルトゥルーパー」での700~キロ前後のバスを2尾、顔まで見ながらバラしてしまった。

特に2本目は終了15分前だった。

決勝は再び吹き始めた北東の爆風下での風下狙いで、風に流されたラインのフケによるアワセの弱さが原因だった。

今もまだ脳裏にそのバスの大きな口が焼き付いて離れない。

3日間の大会トップウェイトの立役者となったのは7~10gのMAXセント「リルスーパートゥルーパー2.5インチ」のリアクションテキサス。イメージはアシの中から手前まで、素早さでリアクションバイトを獲る方法だった。

TOP50プロたちが「バイトが浅すぎてすぐ離すしバレる」と口々にいっている昨今の霞ヶ浦。MAXセントのバタバタ系高速リアクションでは、1秒でも長くくわえさせられることは大きなアドバンテージだった。

意地悪なトーナメントの女神は、2日目のトップウェイトで自力残留を確定させたことで、決勝では「まだ辞めたくない」と思わせるに十分すぎる悔しさを存分に味合わせてくれたのかもしれない。

こうして自分のTOP50最終戦は総合14位で幕を閉じた。

今年は幾度も心が折れる寸前まで奈落に突き落とされたシーズンだったが、そのたびに奇跡的なウェイトを出しはい上がってきた。

決勝はノーフィッシュとなり最終戦最終結果は14位入賞。31位の残留ボーダーで迎えた年間成績は26位にアップし自力残留を決めた。何度もあきらめかけた苦しいシーズンだったが、この結果は今の自分にとってA.O.Yにも匹敵する。

霞ヶ浦全域戦でも大会トップウェイトを出せる力は、61歳を超えてもまだ自分にはあることも証明できたことは自信につながった。

ライブサイトとアナログスタイルの高次元融合が、この2年の苦しい過渡期を経て身についてきた実感もある。

2年連続で永久シード権を使わずに済んだことで、自分の選手生命はあと最低2年は延びた。

これからも苦しい戦いは続くだろう。

だが、本当の限界はもう少し先にあるようだ。

そこに至るまでもう一度、今日から鍛え直し、来シーズン、若手ライバー達に一泡も二泡も吹かせるつもりで挑みたいと思う。

今泉拓哉プロ、小森嗣彦プロ

最後になるが、今回優勝の今泉プロには感服した。

3日間、毎日ノーフィッシュ率ほぼ50%(2人に1人以上がゼロ)を記録した霞ケ浦全域戦で、まさかの羽根モノ「バゼル」で逆転優勝を飾ったベビーフェイス今泉プロ。あの絶望的釣れなさの中で「バゼル」を巻く勇気は根性すわり過ぎだ。

今泉プロ(最近はナウ泉プロと呼ぶらしい)が使った「バゼル」の「三原泥テナガ」。このカラーは実際に三原直之プロが加古川で自分の晩飯用に釣ってきたテナガエビをボディに3DR転写した三原晩飯カラーなのだ。

もちろんその強さにもなのだが、それ以上にツネミという大きな会社に正社員として勤めながら、社員としての仕事をこなしながら、社長の理解と信頼を得てトーナメントに撃ち込む姿は自分の若き商社マン時代を、そしてエバーグリーンの橋本社長と自分の関係を思い起こさせるからだ。

バスプロとしての際立った力と、「一流社会人」としての評価、その両方を高次元で併せ持つプロは今や本当に稀だ。

ナウ泉プロは今後、バスプロ界だけでなく、ツネミ社長のようにバス業界の未来を背負う存在になってほしいと思う。

一方、日本のバスプロ黎明期を知る現役TOP50プロは自分と河辺裕和プロ、そして小森嗣彦プロだけになってしまったが、齢50歳を超えて純粋なプロアングラーとして今もバス釣り一本、成績一筋で生計を立てる小森プロの姿にはいつも心打たれるものがある。

釣りは地味すぎておもんないけど(笑)、プロとしてもっと評価されるべき本物のプロだと思う。

逆に彼がバスプロ人生を全うできなければ日本の若手バスプロ達に未来は絶対ない。

予選ダントツ1位で決勝に臨んだカスミ最強のひとり、小森プロ。圧勝かと思われたが4位フィニッシュ。小森プロですらひとつ間違うとノーフィッシュになるのが今の霞ヶ浦の恐ろしさなのだ。

小森プロのメインルアーは「アンクルゴビー」でももっともテール波動の小さい2.5インチを、フィネスでも強いスーペリオ1/20ozジグヘッドを使った食い上げスイミング。しかもフッキングの浅さを意識しなんとノーガードで使用していた。

今年復活の4タイムA.O.Yを獲得した青木大介プロとともに、強さだけでなく、日本のバスプロの目指すべき指標、道しるべとなってほしいと思う。

自分の現役プロとしての最後の目標は、もちろんもう一度、TOP50の頂点に返り咲くことに他ならないが、こういった日本のバスシーンに人生を捧げた若きプロたちが、これから10年、そして20年、バスプロとしての天命を全うできるJBTOP50という舞台を末永く存続できるよう、新たなステージに向けて力尽き切るまで全身全霊を尽くすのみである。

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