今江克隆のルアーニュースクラブR「忖度ナシ!ハイエンドリールを本音でインプレッション」 第1256回
ベイトリールの開発動向
最後に、今後の今江的ベイトリールの開発動向、ABUとの関係を少し紹介しておこう。
基本的に今後もベイトリールは主軸をG-nius「グラビアス・Aurora/KTF」が主力となることに変わりはない。
すでに「ブラックレイブン」と銘打った「LTZ930pro」、「LX992Z」の生みの親、REVIVEの武本チューナーによる新型「グラビアス」が年末をめどに最終段階に入っている。

Gravius “BLACK RAVEN”の試作プロトの一部デザイン。ロゴの変更を含め、メカニカルにREVIVEの刻印が入る予定だ。
この機種は「ライブベイトフィネス」と名付けたベイトフィネスとはまた違った、しかし、やや軽量ルアーを扱うベイトフィネスの要素も取り入れた中~遠距離高精度、クイックキャストをコンセプトにしたREVIVE特注スプール、特注マグシステムを取り入れた機種だ。
ま、簡単にイメージで言えば、「慌てて目標物を見ずに360度方向どこに投げてもバックラッシュしにくく、スイングの狭いフルキャストでもラインが浮きにくくトラブルなく真っ直ぐ投げられるリール」って感じだ。

「BLACK RAVEN」の初期プロト。スプールはここからかなり激変している。変な体勢からのブラインドキャストで咄嗟に振り切ってもバックラッシュやライン浮きのトラブルを少なくしたベイト“ライブ”フィネス専用機だ。

今年の春からセッティングを煮詰めている「Gravius BLACK RAVEN」。武本チューナーのチューンは、一言で言えば「ストレスフリー」。メンタル病んで雑になった時ほど、メンタル立て直しに貢献してくれるチューニングだと思う。

ライブサイトでの360度方向へのクイックキャストはもちろんだが、咄嗟の焦りまくりフルキャストでもきちんとブレーキが追いついてくれるところが雑な自分にはとても向いている。特に7~12gの中間ウェイトには抜群の相性だ。
また、もう一つ全く違ったコンセプトでのパワー巻物系グラビアスも同時進行しており、こちらもインパクト十分な独創的なチューンドリールになると思う。
ABUとの関係
そして気になるAmbassadeurとの関係だが、まだ極秘なので詳しくは言えないが、恐らく来年のショー、もしくは今シーズン終了後に気付いているプロは公開しだすであろう、すでにTOP50でも密かに流行りつつある特殊チューン専用、ある意味、新世代対応の次世代ベイトフィネスコンセプト機種を完成させる予定になっている。

ABU最後の今江モデルとなった「LX992Z」。そのデビュー翌年に突然契約が突然切られた。自分のピュア復帰には海外からの熱烈な「LX992Z」再生産要望があったのも理由の一つだそうだ。
これは特殊なスプール設計かつ、全く別ベクトルの専用チューンが必要なため、ABUのあるリールを母体として、ABU公式チューナーでもあるREVIVEが製造することになっている。

REVIVE武本チューナーがZPI時代にチューンした「LTZ930」は、奇妙な縁で青木哲G-NIUS代表が作った鉄仮面こと、ウェルダクトを搭載することで完璧なベイトフィネス機として完結した。
まだピュアフィッシングが販売するのか、REVIVEで販売するのかは未定だが、「グラビアス」ではカバーしきれないこの特殊機種のみを今江専用モデルと限定して使用していく予定になっている。

ABUとGraviusの両機種を公認チューナーとして手掛けるREVIVE。秘密のNext「Ambassadeur」がどんな尖がったコンセプト、仕様になるのか、今から楽しみだ。
現在も自分の分身である「REVIVE・LX992RS」は青木代表の理解あって「グラビアスAURORA/KTF」と併用しているのと同様のポジションになるリールだ。

青木代表の理解を得て黒塗りで要所要所で使用してきた、自分の分身のような「LX992RS」。愛息みたいな存在だったリールを、契約を切られたからといって簡単に手放せるほど薄情な親ではない。
確かにダイワ、シマノのベイトリールの性能は疑うべくもなく世界最高のリールだ。
それを否定することは誰にもできない。
だが、車の世界がそうであるように、誰もが乗りやすいメーカー標準誂えの高性能量産車ではなく、個性を磨き切り突出した一点突破性能で名を成すチューンドカーの世界が存在するのも事実だ。
ABUやGraviusが巨大企業ダイワ、シマノに一矢報いるには、その個性の一点突破しかないと自分は感じている。
そしてそんな唯一無二の存在が好きだから今も昔も、ベイトリールにはひとかたならぬ思い入れがあるのだ。
うまくチューニングパーツが3つとも完成すれば、「グラビアスBLACK RAVEN/REVIVE」、「グラビアス〇〇〇〇」、「Ambassadeur RS /REVIVE」と言った、それぞれ全く異なった性能、明確に違った独自コンセプトのリールが2026年フィッシングショーで同時にお目見えするかもしれない。
以前、ABUとの契約時にずっと語っていた自分の引退後の最後の夢は、見た目はそのままで、内部構造は究極の最先端にフルチューンした「Ambassadeur2500c」と「Ambassadeur5600c」をコンバットスティックに載せ、秘密の小規模リザーバーへジョンボートで繰り出し、昔を懐かしみながらひとり自己満足に浸ることなのだ。

昔からの夢は、見た目はそのままに「Ambassadeur2500C」を1:7以上のハイギア化&赤ベロ化、最先端機種顔負けのスーパークラシックベイトフィネスにして部屋で眺めて妄想しながらニヤニヤすることだ。