スタイラー51
開発のきっかけとコンセプト
こんにちは、スミス開発の小笠原です。
少し前にスミスから今冬発売予定のライトソルト用ミノー「スタイラー51」についてお伝えしました。
今回もスタイラー51について解説をしていきたいと思います。
第2回の今回は…。そもそもなぜ「スタイラー51」が必要だったか。
その開発のきっかけとコンセプトについてお伝えします。

小笠原健太(ちゅにてぃー) プロフィール
ライトソルトにおける“ラフ環境”への挑戦
まず、スタイラーのコンセプトを申し上げますと!
「ラフ環境に対応するライトソルト用ミノー」
となります。
ヒラスズキ用などにあるヘビーデューティー系のリップレスミノーをライトソルトのスケールにて実現出来ないか、という思いから開発がスタートしました。
簡単に言ってしまえば…
良く飛んで、良く水を噛み、潜り過ぎず、アクションはなるべく弱めの食わせアクションのリップレスミノー…。そんなところを目指したのです(笑)。
あくまでもライトソルトのスケールなので、いわゆる『荒磯のサラシの中』みたいなフィールドではないですが、夜の凪磯だったりゴロタサーフだったりと、漁港の中のような閉鎖空間から外に出た時点でライトソルトにとってみれば『ラフな環境』になると思われます。
凪とは言っても少しだけ風波があったりします。繊細な5センチ程の小型プラグにとっては、ちょっとした波風ですら動きが破綻したり、レンジ、トレースラインがずれてしまったりという事が起こります。
スタイラー51はそんなライトソルトとしてはラフな環境で、誰でも扱いやすく、先発完投が出来てしまう総合力の高いリップレスミノーというものを目指して開発しました。
開発で追求した3つの要素
ラフ環境への対応力として求められた項目は…
・飛距離(キャスタビリティ)
・水噛み(レンジキープ力)
・潜行レンジ&アクション
大きく分けて、こちらの3項目となります。順番に解説させていただきます。
飛距離(キャスタビリティ)
ショアソルトの釣りにおいて、そのジャンル内で外側のフィールドに対応するようにした時に真っ先に求められるのが飛距離(キャスタビリティ)となります。
例えば、港湾のシーバスに対しての磯やサーフでのシーバスみたいなイメージですね。
メバルをはじめとしたライトソルトプラグにおいては、漁港内に対して、磯やゴロタサーフのような外側のフィールドに対応させたスタイラー51に関しても、まずは飛距離に関して徹底的に突き詰める事になりました。
単純に飛距離が出ることはもちろんなのですが、横風を受けても狙ったところに真っ直ぐ飛ばすための安定した飛行姿勢が求められます。
また、スタイラー51はどちらかというとナイトゲームでの使用が多くなりますので、キャスト時に飛んだ先のルアーを目視する事が出来ません…。
「狙ったポイントに確実に真っ直ぐ飛ぶ」。これを、例え目視できなくてもアングラー側が『このキャストは絶対あのポイントに決まっている』と確信が持てる程の安定感を求めました。
水噛み(レンジキープ力)
続いて、水噛み(レンジキープ力)に関して。
ソルトのラフな環境で使用されるミノーにおいて求められる最大の項目、それが水噛みと潜行レンジになると思われます。
スタイラー51の想定されるフィールドはあくまでもライトソルトのフィールドなので内湾の磯やゴロタサーフなどになります。
こういったフィールドは漁港内に比べると無風時でも多少のさざ波などはあったりする事が多いですよね。
このさざ波は、例えばシーバスルアーのスケールで考えた時には『ベタ凪』となるのですが、ライトソルトルアーのスケールに当てはめると『無視出来ない存在』となると思います。
水面が20センチだけ盛り上がる波でも、小さなボディで表層をフワフワ漂うライトソルトプラグは一緒に波に乗ってしまいレンジがボケてしまう…。
人間が立っている分にはどうって事はない風速数メートル程度の横風でも、小さなライトソルトプラグではラインテンションをキープする事が出来ず大きなラインスラックと共に横滑りしてしまう…。
こんな経験が少なからずあるかと思われます。
スタイラー51はこんなライトソルトルアーではやりにくい環境においてしっかりとコントロールできるような性能を求めました。
キャスト後、早急にリップでしっかりと水をつかんでアングラー側に確実な抵抗感を与える事が出来る立ち上がりと水噛みとなります。
そして、一度水を掴んだら多少の風波には左右されず、足元まできっちりと引き切る事が出来るレンジキープ力となります。
前述の飛距離の項目でも触れていますが、スタイラー51は目視でのコントロールが出来ないナイトゲームでの使用がメインとなります。
『このトレースライン、このレンジを確実に引けている』という確信を持つ事の出来る水噛みとレンジキープ力が求められました。
潜行レンジとアクション
最後に潜行レンジとアクションについて。
スタイラー51にはフローティングとシンキングの2タイプがラインナップされます。
それぞれの潜行レンジが…
フローティング→約30〜40cm
シンキング→約50〜70cm
となります。
この2つのレンジにはしっかりと理由があります。
フローティングの30〜40cmという設定はシャローエリアでも水面のさざ波の影響を受けないギリギリの水面直下をキープし続ける。
このレンジ設定は完全な表層ではなく、ほんの1枚下をしっかりとキープしてスローに誘い続ける事が出来ます。
シンキングの50〜70cmという設定は足場の高いフィールドなら水面直下、海藻が伸び切らないフィールドでは魚の目線に合わせて、のようにフローティングが出来ないゾーンを確実にカバーするような設定です。
フィールド環境や使用タックルによってもかなり変わるのであくまでもイメージですが、明確な役割を持つ2つのレンジを設定しました。
アクションに関してはロール主体のタイトハイピッチアクションとなります。
漂わせるようなデッドスロー〜スローの速度ではほぼロールのみのアクション、そこから速度が上がるにつれてウォブリングが足されていくようなイメージになります。
基本的な使い方であるスローなタダ巻きにおいてはチョロチョロとロール主体で泳ぎますので、アクション自体は弱めの食わせ寄りなアクションとなります。
矛盾する要素を実現させるために…
この浅めの潜行レンジと弱い食わせアクションのみを書くと、良くあるシャローミノーとなるのですが、前述の確実な水噛みとレンジキープ力という項目が加わる事によりとても難しい設定となりました…。
冷静に考えると強い水噛みに対して潜らない、泳がないというのは矛盾していますよね……。
スタイラー51の開発においてこの矛盾する要素を実現させるという事が最も苦戦しましたが、求められるレベルでクリアする事が出来ましたので製品化する事が出来ました。
次回はこの矛盾した要素をどのようにして実現したのか、スタイラー51の開発と構造についてお話しします。
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