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今江克隆のルアーニュースクラブR「もはやライブのガチキャリアがトーナメントアングラーの実力なのか!?〜TOP50桧原湖戦レポート〜」 第1254回

連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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明らかな証左

最後にその明らかな証左として、今回の表彰台獲得が全員20歳代であり、藤田夏樹プロ以外は皆、ライブネイティブの1年生という驚くべき現実がある。

表彰台の5人全員が20歳代、しかも4人が今季初TOP50の新人。ライブサイトの登場はバスフィッシングの常識と技術を完全に変えてしまった。

そして同時に身近な存在としてTOP50参戦初年度にしてこの桧原湖ガチライブサイト戦で表彰台を獲得したイマカツスタッフの藤川温大プロの存在がある。

藤川プロは初日ラージを含め、3kgを超え単日3位スタート、2日目もスモールだけで2,800gを超え、最終日こそ少し落としたが、初めての桧原湖であっさり表彰台を獲得してしまった。

藤川プロはプリプラから同宿して行動していたが連日余裕綽々で釣っており、試合後その正体がまさかの自分の十八番「メタルクロースピン(メタクロ)」のライブサイトだったことには心底、驚きを隠せなかった。

ベースの2,400g以上を速攻で「メタクロ」でまとめ、「ハドルブレスギル3インチ」でラージを入れて初日3位の藤川プロ。すでに新人とは思えない落ち着きと貫録を感じさせる。

予選2日目は「メタクロ」のライブサイトで延々と釣り続け、スモールだけでも2,800gオーバーをマークした藤川プロ。初めての桧原湖でさえ、ネイティブライブサイターにとってはバスを釣ることはいとも簡単に思えてしまう。

かつて自分も「メタクロ」の桧原湖での圧倒的な威力にハマり過ぎて、結果予選落ちした苦い経験がありトラウマになっていたが、その後登場したライブサイトとの相性の良さ、リアクションの良さ、ビッグフィッシュ率の高さの3拍子が揃った時、「メタクロ」は最強のスモール兵器になっていたことに気付けなかった。

藤川プロはアッサリとそこに気付いて、試合中も驚くほどのバスを延々と釣り続けていたのを実際に目撃している。

藤川プロは中学3年生の頃から面倒を見てきたが、昨年のマスター戦を見ていたころからそのライブ能力の高さに注目していたが、開幕戦野村ダムといい、今回の桧原湖戦といい、すでにそのライブサイト能力は現在のTOP50でもベスト5に入ると思う。

自分から見れば、まだあどけなさの残る青年にみえるTOP50新人の藤川プロ。だがライブキャリアに関しては間違いなく自分より遥かにベテランであり強者だ。初めての桧原湖で初の表彰台を獲得した。

その現代バスフィッシング最強の武器を、バスフィッシングを始めた時から当たり前のように触ってきたがゆえ、日本で最も複雑な地形で難関なスモールマウスレイク・桧原湖での、それも初めての桧原湖TOP50トーナメントですらベテラン勢、地元勢をも押しのけ優勝争いを演じることができるのである。

今、自分が感じている現実は、もはやライブのガチキャリアこそがトーナメントアングラーの実力キャリアとなり始めていることだ。

最高カテゴリートーナメント歴43年目の自分が2年生なら、新人の藤川プロはすでに6年生であり、さらにデジタルネイティブ世代な彼のデジタルスキルは昭和世代の私の比ではない。

日米でベテラン有名アングラーが軒並み新進気鋭の若手プロに歯が立たなくなって引退している原因の一つは間違いなくここにある。

第4戦を終えての年間総合成績。今季は53名エントリーのため32位が残留権内となる。あの4タイムチャンピオン、小森嗣彦プロ、歴戦の強者・山岡計文プロをして今年はこの順位にいることが、今のTOP50の若手達の実力の凄まじさを物語っている。

もちろん、彼が父親である阪神タイガース監督・藤川球児氏の理解と全面サポートによって、16歳の頃から迷うことなくバスプロとしての人生一筋、バスフィッシング一筋に打ち込んでこれた環境もあるが、同時に彼の純粋すぎるほど一途な努力と圧倒的な練習量、驚愕するほどのバスフィッシングへの知識があってこそ今があると思っている。

今江克隆すらイマイチ知らなかった河野正彦プロとは月とスッポンなくらい、過去の日本のバス歴もアメリカの過去歴も驚くほどに研究し勉強している。

青春の全てをバスフィッシングに打ち込める姿は、ある意味、野球一筋の高校球児からプロ野球選手、大リーガーとなった父親と世界は違えど同じ道を同じように辿っているのかもしれない。

彼の純粋さと比べれば、同年代の自分は色気と邪念でいっぱいだったように思う(笑)。

居残り練習では7mの立木ライブで2kgオーバーのラージを釣っていた。自分の立木ライブを教えたら、すぐに実践して吸収していく姿勢はまさにプロアングラーである。

今年の阪神タイガースの優勝を見越して企画していたわけではないが、現在、読売テレビが地上波で藤川温大プロのTOP50チャレンジを第3戦遠賀川から公私含めて密着で追いかけており、今回の桧原湖戦の模様、そしてその裏舞台も含めもいずれ映像として見ることが出来ると思う。

今回の模様を含めTOP50プロ・藤川温大の生き様を、9月13日(土)深夜0時55分~読売テレビ「あすリートhttps://ytv-athlete.jp/tag/tv)」にて放送される。放送後、Tverによる見逃し配信、YouTubeにてロングバージョンも放映予定だ。

イマカツに本格派ライブサイター藤川温大プロが加入したことは、自分にとっても、年代の近い河野プロにとっても大きな刺激と勉強になっている。

2人とも今はその刺激が「劇薬」的魅力があるがゆえに自分のスタイルに乱れが生じているのも確かだが、彼から学べることはとても多い。

そこには先輩も後輩も、ベテランも新人も存在しない。

ライブサイトは様々な賛否両論があることも確かだが、この圧倒的なテクニックを完璧に自分のものとせずにトーナメントを去ることは、自分にとってあまりにも勿体なさ過ぎる新鮮な面白さがあるのもまた真実なのだ。

生涯勉強、それがバストーナメント最前線の刺激的な楽しさなのである。

ここ数年で一気に若返りを果たしているTOP50。もう自分の存在は20代の彼らと比べるとリアルオジサンである。だがバスフィッシングへの気持ちだけはまだ20代と何も変わってはいない。

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