今江克隆のルアーニュースクラブR「もはやライブのガチキャリアがトーナメントアングラーの実力なのか!?〜TOP50桧原湖戦レポート〜」 第1254回
TOP50第4戦桧原湖ケイテックCUPが閉幕した。
結果は凡庸な17位。
ただ、この17位という順位は今回に限れば自分にとって実は最悪の中の最善であり、またあらゆる意味で今の自分のTOP50における立ち位置を再認識させる結果となった。
今試合、前戦得意の遠賀川をまさかのノーフィッシュ最下位で終えてしまった自分にとって、絶対目標は最終戦へのモチベーションを繋ぐためにも何が何でも入賞圏内15位以内に入ることだった。
昨年同時期開催の桧原湖戦では最後までラージマウスにこだわり過ぎて予選落ちしたため、今年のプリプラは徹底してライブサイトの技術の底上げを課題に、確実に15位入賞ウェイトを出すための練習に徹した。
ここで予選落ちすれば最終戦を待たずにシーズンが「詰む」ことは確実で、それだけは何としても避けたかったのが自分の心情だった。
だが、非情にも今試合のプリプラで思いもしないアクシデントに見舞われることになる。

第4戦桧原湖ケイテックCUP。昨年惨敗した自分にとって、この試合はどんなことがあっても予選落ちだけはしてはいけない試合と肝に銘じて臨んだ。
公式練習初日
プリプラを超えるまさかの残暑となった初日、持病の寒暖差障害からくるまさかの初・熱中症で公式練習後にダウン、さらに翌日の大雨の練習で風邪を併発し、激しい咳と発熱が決勝まで続き、体調管理に失敗してしまった。
年齢的にも体調管理には人一倍気を使っていたが、長年の経験でも予期できなかったプロ失格の体調管理失敗だった。
ただ、結果的にそれでも耐えきって、予選初日33位から目標には2つ届かなかったが17位まで死に物狂いで足掻き切った諦めの悪さだけはまだ健在だったと思う。

平然と涼しい顔をしているように見えるが、熱と痛み、激しい咳で肋内骨炎を併発しながらの苦しい試合となってしまった。
公式練習2日目
体調不良を押して出た大雨の公式練習2日目、体調的に繊細なことは出来ないと判断し、昨年の試合でキーパー獲りメインに使ったブレードアラバマ&ウェイク(ベビキラウェイク)の今江改VerⅡで朝から馬の首の岩盤や大きな立木際を流していくと、朝イチから800~1,000g強が稀に見る超イレグイ状態になり午前中で30本近く釣れてしまう言うハプニングが起こった。

発熱を押して出た大雨の公式練習2日目、アラバマ&ウェイクVer2でキロアップを筆頭に700g以上が30匹を余裕で超える大爆釣になった。

オリジナルのウェイクと、今江式アラバマ専用ウェイクVer2。リップの大きさが昨年使っていたVer1に比べてもさらに大きくなっているのが特徴だ。

ブレードがギリギリ回る程度のアラバマのデッドスロースイミングでもしっかりと泳ぐのが「今江式ウェイクVer2」だ。ワーム系に比べフッキングが秀逸でバラシも極めて少ない。

ウェイクVer2はビッグ基盤リップに超太軸の#12トリプルフックと#8のダブルフックを装着している。キロアップであろうがフックが曲がることはまずない。
さらに水深6m~7mのフラットエリアで「LVS62」を使った射程60mライブサイトでの超遠距離ヘビーダウンショットシューティングでもイージーに800gオーバーが釣れ続いた。

「ジャバロンONE」を超ロングリーダーの10~14gのダウンショットシンカーで使い、LVS62による40~50m先のスクールを狙い撃つ超遠距離射程のリアクションダウンショット。LVS34の30m程度射程ではもはやほとんど喰ってくれなくなっている。

「ジャバロンONE」の超遠距離射程ロングリーダーダウンショット(写真ラインはPEだが、実際は2.5lbエクスレッドを使用)。ロッドは10gを余裕で投げられる最低7.6フィート程度が必要で、今回は「カレイド・キャロライナスペシャル」のティップを3cmカットして使用していた。フックは「スーペリオM1フック」の#3。
大雨の一時的な現象と分かってはいたが、これがどんなに体調不良でも試合に何としても出たいと言う前向きな気持ちにしてくれたことだけは間違いない。

プリプラでは徹底してライブサイト技術の底上げに徹した。中層回遊性の強いスモールマウス戦ほどライブサイトが最強無双の圧倒的武器になる試合は他にない。
予選初日
そしてオフリミットをほぼ寝たきりで過ごし迎えた試合初日。
台風の影響で再び大雨になり体調も最悪の状況になっていたが、目標を800g×3尾=2,400gで確実に20位前後確保に想定し、アラバマと超遠距離射程ヘビーダウンショットで展開。
朝一すぐにスクールに遭遇し3リミットをアラバマウェイクで揃えたが、サイズが500~600g台に激落ちしており、月島フラットでのウェイトアップにシフト。
しかし雨で水温が下がったためか600gクラスの20尾ほどのスクールが一気に増え、釣れども釣れどもMAX700g台で2,100gをなかなか超えられない…。
ラスト2時間を切った時点で「これは何か劇的に全て変えないとノーフィッシュと変わらない」と、展開を思い切って岩盤や急深バンクの立木に隠れた単体の大型スモールをスイムジグでおびき出して喰わせるライブサイトにシフトした。
これが奏功しラスト1時間で全てを800g弱に入れ替え辛うじて2,400g近くにウェイトアップした。
前週のチャプター戦の結果から見て、これで何とか20位前後確保と思ったが、ライブサイト全盛の今のTOP50でその考えは甘すぎた。
事実上「ライブ2年生」の自分が2時間で800gを3尾揃えられる状況なら、ライブネイティブな若手世代のフルタイムプロに取ってそれは朝飯前なことだった。
初日2,370gでまさかの33位予選圏外。

初日、2,400g弱を持ち込んで22~25位前後にはつけた予定が、蓋を開けてみると予選圏外の33位。TOP50プロのライブサイト技術の驚異的なレベルに呆然とするしかなかった。
上位は2,700~3,000g前半がひしめく大混戦となっていた。
これで初日は必要十分と思っていた自分は想像を超えるTOP50のハイレベルなライブサイトに愕然としてしまい、一気に力が抜ける気がしてしまった。
その落ち込みからかこの夜は38度の高熱を出してしまい痛みと咳でほぼ寝られなかった。
正直、朝は棄権も考えたが、ラスト2時間で2,400gを揃えられた岩盤&立木ライブに全時間費やせば、まだ一縷の望みがあるかもしれないという期待がそれを思いとどまらせた。
予選2日目
台風一過の晴天となった予選2日目、果たして立木のバスがスイムジグを喰うかが不安だったが、朝一からバンクのランガンスタート。
しかし急激な気圧変化のためか1尾目がなかなか釣れず3時間が経過し焦りが出てきた。
仕方なくフラットで揃えに行くが超遠距離射程も効かない。
これはヤバいと今試合の最終兵器「MAXセント」の「Dワーム3.6inch」のネコリグ&ダウンショットで月島フラットでの喰わせのライブサイト展開。
今までJBで長らく使えなかったMAXセントの威力は本当に鮮烈で、まさにイレグイ状態再スタート。
あっという間に2,400gまでは揃ったので、すぐにまた急深バンク&岩盤の立木ライブにシフト。

乾燥しないガルプ「MAXセント」、「Dワーム」の威力はプリプラから半端ではなかった。「スーペリオM1フック」の恐ろしいほどの掛かりの良さはスモールマウスには絶対的な信頼がある。
風が出てきた午後、空気が変わったのかこれが奏功した。
すぐにキロ弱を仕留め、さらに終了間際、超メジャーな立木で1kgを仕留めた。
結果、なんとかマクって2,775gで単日13位。
予選を25位で通過することができた。

予選2日目、岩盤、バンクの立木に着く単独のスモールを狙ったライブ展開に全面シフトし2,770g、単日13位でなんとか初日のマイナスは取り返した。
決勝
そしてこの予選通過で免疫が戻ったのか熱もほぼ下がった最終日、逆転狙いのでラージ勝負に行くか迷いに迷ったが、今の自分の立ち位置をよく考えた結果、最終日は勝負する選手が多いと判断し、僅差勝負ゆえに逆に上位のスコアが崩れる可能性を考え、ここはスモールで最低ラインの2,400gを確実に超えて一つでも順位を上げ15位入賞を優先することを選んだ。
決勝、朝一はスイムジグによる大場所・馬の首の岩盤ライブサイト。
これが当たり、いきなり朝一に1,100g近いビッグスモールを仕留めた。
だが、2日間でほとんどのメインスポットを叩き潰しており、そこから10時までどうしても立木ライブで喰わせることが出来なかった。
このままでは値千金のキロアップを意味のないものにしてしまう…今回それだけは避けなければならないと、フラットで確実に2,400gを超える選択をした。
そして入った月島フラットでは、再びMAXセントの「Dワーム」でイレグイ状態が始まったが、釣っても釣っても680gを超えられない。
2,400gの目標は達したが短時間戦の決勝は昼になってもなかなか風は吹かないため、次こそは700gアップが釣れるのではないかとイレグイゆえに立木ライブへのシフトを迷ってしまった。
ラスト1時間、意を決してランガンするが、ラスト1投の立木ライブサイトで仕留めた心臓爆発の超ビッグフィッシュは70cmの真っ黒なナマズだった…。

決勝朝一番に「アベラバ5g」&「クリッターホッグ2.6インチ」の岩盤ライブサイトで仕留めた1,100g ここからラージ勝負に行くのではなく、敢えて確実に2,400g後半を積み上げていくことに今回は徹した。
最終順位は17位に
結果、2470gで単日15位。
予想通り上位陣に崩れが起こり目標だった最低15位には届かなかったが、17位まで順位を上げることができた。
正直、これが今回自分にできたベストオブベストの結果だったと思う。
結果的に上位に入るには1,200~1,600g平均の桧原ラージを3日間で最低1尾は仕留めなければ上位にいくことはできなかった事実は明白だった。
だが、もし1日でも失敗すれば、薮田和幸プロのように予選1,600g×2尾のビッグラージを仕留めながらも決勝で外し、まさかの28位まで後退してしまったかもしれない。
決勝、月島では藤川温大プロ、薮田プロと2時間ほど近距離で並んでいたが、自分と藤川プロは次々と入れ替え続ける中で薮田プロにはバイトはなかった。
これこそが「メンタルゲーム」「リズムが合うか否かが全て」ともいえるスモールマウス戦の最も怖い落とし穴なのだ。
今の自分のTOP50プロとしての立ち位置は、安定した力量の「ライブサイト能力」あっての「ラージ勝負」となった今試合で、自分はTOP50ライブ能力ランキングだけでいえば17番程度というのが現実なのだ。
ただ、ガチのライブ歴2年目で確実にその技術の底上げは出来ている手ごたえはある。
今後、安定した力量として自信がつけば、ガチ攻め能力は若手とも互角以上に渡り合える自信はある。
今の時代、ライブは中途半端にハマってしまうことが最も本来持っている釣りの力量を下げるリスクになると自分は思っているが、この年齢にして新たな道半ばを学んでいる新鮮な気持ちと目標があることは楽しいことだと思う。

今試合、ウェイインした全てのバスを釣ったのは「アベラバ5g」と「Maxセント クリッターホッグ(ほぼバルキーパワーホッグの2.6インチ版)」のライブサイトスイムジグ。「アベラバ」はとても優れたジグだがタングステン価格の超高沸で再生産が不可能になっている。

ウェイインしたバス全てを釣ったタックルは、「T1200G」を試採用した新型のスト系専用スパイラルラガイドのライブフィネス専用ロッド。このロッドは、今後間違いなく自分のライブサイトの最強の右腕になるだろう。
ライブのガチキャリア=実力キャリア!?