天龍の広報スタッフより、灼熱の「キハダキャスティング」レポートが届いたのでご紹介したい。
中京エリアで“キハダの聖地”と称される三重県・志摩沖。
梅雨明けの太陽が容赦なく照りつける7月下旬、灼熱の海に挑むべく、我々は南伊勢町・五ヶ所浦へと向かった。
目的は、自社キャスティングロッドの理解を深めるための社内研修会。
しかしそこには、単なる研修の枠を超えた「本気」の実釣、そして、40kg級のキハダキャッチというドラマが待っていた。
本記事では、真夏のキハダキャスティングゲームに挑んだ2日間の模様を振り返りながら、使用タックルの紹介やフィールドの状況などを余すところなくお届けする。
出発は梅雨明け直後 ─「研修」と書いて「本気」と読む
メンバーは三重に移動。初日は会食と事前ミーティング、翌日の準備などあわただしい幕開け。
梅雨が明け、キハダの回遊が本格化する三重県・志摩沖。今回我々は、自社製キャスティングロッドの理解と実釣性能を深めるべく、現地入りした。
名目は研修だが、目的は明確。実釣による製品検証と、プロトロッドの最終調整を含む、“実戦形式”の釣行である。現地には、佐賀県より当社フィールドテスター・佐藤光敏氏も来訪。
プロトロッドの使用感を確かめつつ、若手メンバーへの指導役として同船していただいた。
午後から三重入りした本社組は、遠方チームと合流後、翌日の本番に向けた最終確認と準備を実施。ルアーセレクトやプロトモデルのチェックなど、限られた時間をフルに使い、各自が“1本のチャンス”に備えた。
社内イベントとは名ばかりの、熱き釣り人たちのガチンコ2DAYSが始まろうとしていた。

△佐藤光敏氏。明朝の海を前に何を思う…。 TENRYUのフィールドテスターであり、ルアーメーカーSTIMULATE(スティムレイト)の代表でもある佐藤光敏氏。ホームグランドは九州・五島、玄界灘
灼熱のスタート──過酷な海に備えた装備と体制
出船当日、集合は午前3時15分。まだ空も白む前から港へと向かい、静かな海に乗船準備の音が響く。
予報では、日中の最高気温は32℃。わずかながらに風があるようだが、“酷暑”という言葉が現実味を持って迫ってくる朝だった。
今回の釣行を見越し、水とスポーツドリンク合わせて4リットル超を各自で持参。氷の量、クーラーの容量、帽子やフェイスガードに至るまで、装備は“真夏仕様”に最適化。
こうした事前準備が功を奏し、誰一人として熱中症でダウンすることなく乗り切ることができた。
また、船上にはテスト用プロトロッドを含む複数のタックルを持ち込み、状況に応じた検証も視野に入れていた。実際には、この日も翌日もキハダのキャスティングに絞られる展開となったが、備えがあるからこそ、その一瞬に集中できる。
酷暑の海に挑むには、気合だけではなく“冷静な準備”こそが最重要の武器だと改めて痛感した。
ナブラ発見!炸裂するキャスト──40kg級キハダとの遭遇
静かなベタ凪の海を滑るように進む船。その周囲を、小型のトビウオが次々と水面から飛び立ち、まるで何かに追われているかのように並走していく。ソナーにはキハダの反応がある。やがて、あちこちで水柱が立ち始めた。
ナブラだ。
どうやらトビウオを捕食している模様。何度もこの海域に通うスタッフでさえ、「こんなにナブラを見たのは初めて」と驚くほどの光景が広がっていた。
そして8時40分、ついにその瞬間が訪れる。発生したナブラに向かって放たれたルアーが、まるで吸い込まれるように着水。直後、ラインが引き込まれ、待望のヒット。
初めは抵抗感もなく寄ってきたかと思えば、突如として船底に突っ込み、ドラグを一気に引き出す。それでもロッドの追従性と、リールのドラグ性能に助けられ、見事40kg級キハダをキャッチ。
炸裂したのは、テスターのキャストだけではない。全員の“想い”が、その一尾に重なっていた。

見事40kg級のキハダをキャッチ
Tackle Data
ROD: スパイク(prototype) / TENRYU
REEL: ソルティガ / DAIWA
LINE: PE6号
LEADER: ナイロン120lbs
LURE: スイミングポッパー170㎜(105g)
極太のチャンス、再び──沈黙を破る“本命級”ナブラの出現
初ヒット以降、海は再び静まりかえり、時間だけが過ぎていく。だが、11時05分──その沈黙を打ち破るように、海面が激しく沸いた。
本釣行で最大規模のナブラが発生。目測だが、先ほど仕留めた40kgクラスが“最小サイズ”に見えるほどの群れで、明らかに大型個体が混じっている。船上の空気が一変し、全員が一斉にナブラへ向けてキャスト。
再び、同じスタッフのロッドが絞り込まれ、船中に高鳴るドラグ音が響く。だが──その興奮はほんの数秒で終わった。急なテンション抜けとともにフックアウト。回収されたルアーのフックは、見事に伸ばされていた。
魚のサイズがいかに規格外だったかを物語る一瞬。逃した獲物の大きさに、船上は静まり返ったが、これも“オフショアキャスティング”のリアルだ。
翌日は一変 キハダが消えた海と、疲労との闘い
翌日も、前日と同じく3時15分に集合し港へ向かう。だが、初日の高揚感とは違い、メンバーの表情には疲労の色が濃い。慣れない釣りに酷暑、そして寝不足が積み重なり、体力面の限界が徐々に見えてくる。
そんな中、朝一番で小規模なナブラを確認。しかし、前日とは様子が違う。魚の姿は一瞬で消え、それきり気配が感じられなくなった。
僚船にもヒットの気配はなく、無線も静まり返っている。どうやらキハダは一気に散ってしまったようだ。
最後までキャストを続けたものの、この日は1本のヒットも得られないまま納竿を迎えることに。
たった1日違うだけで、状況がガラリと変わる──それが「キハダキャスティング」という釣りのシビアさであり、最大の魅力でもある。
我々はその“ギャップ”の大きさに圧倒されながら、静かな港を後にした
「2日間のチャーター」は効率的か?
今回の釣行は、製品テスト・撮影・実釣研修を兼ねた2日間のチャーターで実施された。効率だけを考えれば、1日で必要な検証は終えられたかもしれない。撮影や人員配置も、日数を分けることでより合理化できた可能性もある。
しかし、もし初日しかなかったとしたら──あの興奮、あの感動には出会えなかったかもしれない。そう思うと、この“2日間”には確かな意味があった。
釣果がすべてではない。が、それでも「釣れた」という事実が、参加者の熱量をさらに引き上げ、手応えと達成感を残したのは間違いない。
我々は釣り人である。「釣れてこそ」という想いが胸にある。だからこそ、あの1尾がこの2日間の価値を、はっきりと示してくれた。
炎天下の中、仲間と共に海に立ち、掛け、獲る。その一連の流れすべてが、この研修にリアルな意味を与えてくれた。
<撮影協力> 純成丸(三重)
参考タックルデータ
キハダ用
ROD: スパイク SK822S-X / TENRYU
REEL: ソルティガ 18000-H / DAIWA
LINE: PE8号
LEADER: 120lbs
LURE: スイミングポッパー等 (フック込み120g)
ROD: スパイク SK822S-H / TENRYU
REEL: ソルティガ 14000-XH / DAIWA
LINE: PE6号
LEADER: 120lbs
LURE: ペンシルベイト等 (フック込み100g)
ROD: スパイクXPG SKX832S-H / TENRYU
REEL: ソルティガ 14000-XH / DAIWA
LINE: PE6号
LEADER: 120lbs
LURE: ペンシルベイト等 (フック込み120g)
カツオ用
ROD: スパイク SK842S-MLM / TENRYU
REEL: ソルティガ 14000-XH / DAIWA
LINE: PE3号
LEADER: 70lbs
LURE:シンキングペンシル(50~70g)
キハダ用
ROD: ジグザム ドラッグフォース JDF591B-7/8 / TENRYU
REEL: ソルティガ35 / DAIWA
LINE: PE4号
LEADER: 70lbs
LURE:メタルジグ(300~450g)
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